やまびこを発生させるエフェクター「ディレイ」とは?

ディレイというのは、リバーブと同様に「空間系エフェクター」と呼ばれるエフェクターです。

ディレイは英語で「Delay」と書きます。

これは、日本語訳すると「遅れ」という意味になります。

つまり、音の遅れを意図的に作り出すエフェクターということです。

分かりやすくいうと、やまびこを機械的に作り出す装置と言えます。

「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」

というような感じの現象のことです。

ディレイはライブでは、よくリバーブと組合わせて使用されたりします。

例えば、ボーカルが歌の最後に音を伸ばす部分があったとします。

この部分にディレイをかけると、良い具合に余韻が残って空気感が増すのです。

実は、リバーブもディレイの一種です。

リバーブとは?のページでご説明したように、リバーブの残響音というのは、反射した音、つまり遅れて聞こえる音なのです。

それでは、リバーブとディレイはなぜ分類が分かれているのでしょうか?

リバーブとディレイの違い

リバーブは反射音を再現するエフェクターですが、この反射音というのに規則性は無く、ランダムなのです。

一方、ディレイは反射音に規則性があるのです。上記の例のように

「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」
「おーい」

といった感じで、一定の間隔で反射音が鳴り、徐々に減衰していくというような聞こえ方になります。

ディレイはどんな時に使われる?

ディレイは主に以下の2つの目的で使用されます。

  1. エフェクトとして使用する
  2. スピーカー設置時の位相改善のために使用する

1つめの使用方法である「エフェクトとして使用する」というのは上記でも触れましたが、ボーカルなどに使用されます。

また、PAだけではなくギタリストもディレイを使用したりします。

その場合はギター用のディレイを使用します。

2つめの「スピーカー設置時の位相改善のために使用する」という使用方法は少し特殊な使い方になります。

例えば以下のような会場を考えた時に、Aさんにはスピーカー1とスピーカー2の両方の音が聞こえてくることになります。

図4

しかし、これには1つ問題があります。

それは、スピーカー1とスピーカー2それぞれとAさんの距離が異なるという点です。

すると、スピーカー1の音は、スピーカー2の音が聞こえた後に少し遅れて聞こえてくるのです。

この状態を「位相がずれている」といいます。

この位相ズレは、スピーカー1とスピーカー2の距離が長くなればなるほど顕著に現れます。

音速は約340m/sなので、スピーカー1とスピーカー2の距離が340m離れていたら音は1秒遅れて聞こえるということになります。

これはものすごく気持ち悪い聞こえ方になります。
この位相のズレを改善するのためにディレイを使用します。

具体的には、スピーカー2の音に対してスピーカー1とスピーカー2の距離分の遅れを意図的に作り出してあげれば良い訳です。

すると、Aさんには、スピーカー1とスピーカー2の音がほぼ同時に聞こえてくるということになります。

まとめ

ディレイは、「エフェクト」「位相合わせ」という2つの目的で使用されるエフェクターです。

ライブなどでは、リバーブの次に多用するエフェクトだと思いますので、使い方をしっかりと覚えて活用できるようにしたいですね。

ディレイの使い方については、こちらの記事をご参照ください。