信号の変換器「DI」とは?

DIは「ダイレクト・インジェクションボックス」の略で別名「ダイレクトボックス」と呼ばれたりもします。

エレキギター、ベース、キーボードなどの楽器を、直接ミキサーに接続する為の機材です。

DIを使用する理由

DIという機材が存在することは分かったけれども「なぜミキサーに接続する際にわざわざDIを挟む必要があるの?」という疑問が残りますよね?

もちろん理由があってDIを使用しているんです。

その理由は「アンバランス信号をバランス信号に変換するため」です。

実は、アンバランス信号をバランス信号に変換するとPAシステムを運用する上でメリットがあるのです。

そのメリットというのが「ノイズに強くなる」ということです。

PAでは、数十メートルというケーブルを這わせなければならないため、ノイズの影響を受けやすくなります。

そのような環境では「ノイズに強い」というのは、とても重要なことです。

どのようにアンバランス信号→バランス信号の変換を行うのか?

この変換をするためには、位相の反転という作業が必要になってきます。

なぜ位相を反転する必要があるのかはバランスケーブルとアンバランスケーブルの違いのページで説明していますのぜひご覧ください。

バランス信号というのは、ホットとコールドという2つの信号を使用します。

以下の図を見ていただければ分かるように、コールドの信号はホットの信号の逆の波形(位相が反転)していることが分かります。

 

最終的には、コールドの信号は位相が反転され、ホットの信号とミックスされます。

このようにしてノイズが打ち消されるのです。最初に考えた人は頭が良いですよね!!

DIのもう一つの役割「インピーダンス変換」

DIの中でアンバランス信号をバランス信号に変換する際には位相の反転というのを行うのですが、その際にはトランスやオペアンプといったIC(集積回路)を使用することになります。

このトランスやオペアンプを使用する際にインピーダンスの変換という現象が起こります。

通常、トランスやオペアンプは入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低く設計されています。

つまり、ハイインピーダンスで入力された信号をローインピーダンスに変換するのですね。

この電気回路の仕組みにより、結果的にDIはインピーダンスを変換する機能も持ち合わせたのです。

つまり、DIでインピーダンスが変換されるというのは、アンバランス信号をバランス信号に変換するための副産物ということになります。

代表的なDI

DIには「アクティブタイプ」と「パッシブタイプ」という2つのタイプが存在します。

この違いは使用するにあたって「電源が必要」か「電源が不要」かという違いです。前者がアクティブタイプになります。

現場で使われるDIはアクティブタイプの方が多い印象がありますね。

BOSS DI-1

PAで使用するDIのド定番モデルです。

癖のない音色で、キーボード、ベース、アコースティックギターなど幅広い用途に使用することができます。

ライブハウスなのでも、かなりの確率でこのモデルを使用(保有)していると思います。

BOSS DI-1はアクティブタイプのDIで、9Vの電池または、ミキシングコンソールからのファンタム電源によって使用可能になります。

価格も1万円くらいなので、数が必要な場合も揃えやすいかもしれないですね。

AVALON U5

AVALON U5はプリアンプを内蔵したDIで、DIの基本的機能に加えて、積極的な音作りができるようなDIになっています。

正面の操作パネル右側にある「TONE」のツマミを回すことによって事前に設定されているプリセット音色を使用することができます。

個人的にはベースで使うなら2番の音がお気に入りです。

価格はちょっと高めですが、ワンランク上のサウンドを求める方には良い製品だと思います。

これ以外にも世の中には様々な種類のDIがありますが、それぞれ仕様や特徴が異なりますので自分の用途に合ったものを選んでみましょう。

まとめ

DIはアコースティックギターやベース、キーボードなどの音をミキサーに入力する際には絶対に必要になるため、PAをする上では欠かせない機材です。

そして、ノイズの少ないPAシステムを組むためにもDIは一役買っているということもご理解いただけたかと思います。

そして、現在では様々な種類のDIが販売されていますが、どれを買うか迷うようであれば、定番の「BOSS DI-1」を使ってみると良いかもしれませんね。