初心者にもわかる!スピーカーチューニングの方法まとめ

このページでは、「スピーカーチューニング」について解説していきます。

スピーカーチューニングは、本番で出す音を決める作業でもあります。

この作業をしっかりやっておかないと、聴きにくい音になてしまったり迫力が無い音になってしまったりしますので、できる限り時間をかけて行いたい作業です。

それでは、順番に解説していきます。

PA機器の電源を入れる

スピーカーチューニングをする前に機材の電源を入れる必要があります。

この際に基本的な注意事項があります。

それは、電源を入れる機器の順番です。

電源を入れる際には音の入り口に近い機材から電源を入れるようにしましょう。

つまり、

ミキサー → イコライザー/コンプレッサー → パワーアンプ

ということになります。

これが

パワーアンプ → イコライザー/コンプレッサー → ミキサー

という順番になってしまうとどういうことが起こるでしょうか?

パワーアンプの電源を入れるところまでは問題無いですが、イコライザー/コンプレッサーの電源を入れた瞬間にスピーカーから「ボン!」であったり「バチ!」といった音が出てしまいます。

この音は会場規模が大きくスピーカーの出力が大きいほど大きくなるため、会場にいる人たちを驚かせてしまいます。

このようなことは絶対に避けましょう。

極論を言うと「パワーアンプの電源を最後に入れる」とだけ覚えておけば問題無いです。

スピーカーから音が出ない状況になっていれば、上流で発生した「ボン!」であったり「バチ!」といったノイズは音として出ないことになります。

逆に、撤収の際にはパワーアンプの電源は最初に切りましょう。

これは基本ですので覚えておきましょう。

スピーカーチューニングの手順

前置きが長くなりましたが、本題に入りたいと思います。

機材に電源が入ったら早速、音を出していきましょう。

スピーカーチューニングの基本的な手順は以下のようになります。

  1. CDなどを用いて、全てのスピーカーから音が出ているかをチェック
  2. 外音(メインスピーカー)のチューニング
  3. 中音(モニタースピーカー)のチューニング

それでは1つずつ解説していきます。

CDなどを用いて、全てのスピーカーから音が出ているかをチェック

ここでのチェックポイントは、

  • スピーカーから問題無く音が出ているか?
  • 配線が間違っていないか?

を確認するようにしましょう。

まずは、CDの音源を再生するためのCDプレイヤーをミキサーと接続します。

PAで使用するCDプレーヤーは、ラックマウントできる業務用のものを使用した方が良いでしょう。

CDプレイヤーはスピーカーのチューニング作業だけでなく、本番中にも使用することが多いので、お持ちでない方は最低でも1台は持っておくことをおすすめします。
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CDを再生し、ミキサーのゲインを調整した上でメインスピーカーに送るフェーダーを上げていきます。

この時に音が出ればOKなのですが、念のためスピーカーの近くまで行き、ウーファー(低音用スピーカー)とツイーター(高音用スピーカー)から問題無く音が出ていればチェック完了です。

私も経験があるのですが、ツイーターが飛んでしまっている(壊れてしまっている)場合が稀にあります。

この場合は、音がバリバリと割れるか、音が出ないといった症状になるので判別ができると思います。

ステレオで設置している場合は、PANのツマミを左右に振ってL側に振った時は左のスピーカーからのみ音が出ているか、逆にRに振った時には、右のスピーカーからのみ音が出ているかを確認します。

メインスピーカーのチェックが完了したら次はモニタースピーカーをチェックします。

アナログミキサーの場合はAUXチャンネルにモニターを割り当てるのが一般的ですので、そのツマミを上げていきます。

チェック方法はメインスピーカーと同様です。

ミキサーに割当てているのと異なるモニターから音が出てしまう、つまり、「ボーカルのモニターから音を出そうとしてツマミを回したけれどもドラムのモニターから音が出てしまった」というような場合です。

これは配線間違いをしていますので、すぐに配線の修正を行ってください。

このままにしておいたら本番で確実にパニックになります。

信じられない話ですが、私が出演者として出たライブでこのチェックを怠ったPA業者さんを見たことがあります。

「ボーカルのモニターにアコギを返してください」という要望に対してツマミを上たのですが、ボーカルは「ちょっと小さい気がするのでもっと上げてください」と更に要望しました。

それに対応するためにツマミを上げたのでしょう。

それでもボーカルのところにはアコギが聞こえないという状況でした。

結末を言うと、ボーカルとドラムのモニターの配線が間違っていたのです。

こんな初歩的なミスが原因でリハーサル時間が削られてしまったのです。

PA業者としてはこのようなことはあってはなりませんので、事前チェックでしっかりと問題が無いことを確認してください。

外音(メインスピーカー)のチューニング

スピーカーのチューニングは、スピーカーから出力される音の「音量」と「音質」を決定する作業になります。

メインスピーカーの音量については、ミキサーから大きい信号が入った際にパワーアンプのインジケーターがクリップ(音が割れる入力レベル)しないようにパワーアンプのツマミを調整することで設定できます。

これが完了したら次は、音質調整(イコライジング)です。

この作業には通常グラフックイコライザーというものを使用します。
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グラフックイコライザーは、ある特定の周波数帯の音量を上げ下げすることができます。

ただし、スピーカーのチューニングで使用する際は、基本的に「上げる」という作業はしません。

考え方としては「いらない音を下げる」ということになります。

マイクやCDの音源を流し、違和感のある周波数帯域を削っていきます。

ただし、これはいきなりやってできるものではありません。経験がものを言う世界です。

最初のうちはフラット(上げも下げもしない状態)で音を出してみて、リハーサルや本番をこなす中で必要ない音に気付き調整ができるようになればOKです。

とにかく、スピーカーのチューニングは非常に難しい作業ですのでしっかり経験を積んで、その都度、反省するようにしましょう。

また、この時に同時にやっておいた方が良い作業は「ハウリングチェックです」ステージ上のマイクの音量上げていった時にハウリングする周波数帯はできるだけカットしておきましょう。

ただし、この時には「削り過ぎ」に注意しましょう。

イコライザーは、音質調整ができる機材ですが、余計な機材を通すことでもあります。

余計な機材を通すと音質が劣化するのは当然のことです。

そして、イコライザーの補正量が多ければ多いほどこれは顕著になりますので注意が必要です。

メインスピーカーのチューニングは、聞きなれたCDなどを流して行う方法もありますが、自分の声を使って行う方法もあります。

そのためには、自分の声の特徴をしっかりと把握しておく必要がります。

そして、その声をスピーカーで再現できればOKということですね。

スピーカーのチューニングは基本的には上記のような方法を取るのですが、この作業を効率化してくれる機材もあります。

それは、「デジタルオーディオプロセッサー」という機材です。

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上記の機材はdbx社のDriverack PA2という機材です。

ミキサーとパワーアンプの間に接続することで使用します。

デジタルオーディオプロセッサーというのは、簡単に言ってしまうとスピーカーのチューニングを楽にしてくれる機材です。

スピーカーの音量設定からイコライジングまで自動で行うことが出来ます。

また、リミッターやコンプレッサーなどの機能も内蔵されているので、スピーカーの保護にも使え、コストパフォーマンスが高い機材です。

ただし、これは、最初に説明したスピーカーチューニングの基本ができる前提で使用しましょう。

この機材がないとチューニング出来ないというようになっては、現場によっては困ってしまいます。

中音(モニタースピーカー)のチューニング

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モニタースピーカーのチューニングについての考え方は、基本的にはメインスピーカーと同様です。

唯一違うのが「モニターの方がハウリングしやすい」ということです。

これは、スピーカーとマイクの距離が近いことが原因です。

従って、モニターは音質調整も重要ですが、ハウリングチェックはそれ以上に重要です。

ずっとハウリングしているモニターの前で歌っても全く気持ち良くありません。

出演者の方が気持ち良く演奏できるようにするためにもしっかりとハウリングチェックをしましょう。

モニターの場合は、誤ってマイクをモニターの方向に向けてしまうことも有り得ますので、それをある程度想定してハウリングチェックをします。

マイクの音量を通常より少し大きめにしてモニタースピーカーに向けます。

一気に向けると一気にハウリングしますので、徐々にマイクをスピーカーの方向に向けていきましょう。

その際にハウリングした周波数帯をカットします。

この際にカットする量としては、ハウリングが止まる程度と覚えておいてください。

あまりカットする量が多いと音質に大きく影響してしまうので、最小限のカットで済むようにしましょう。

まとめ

スピーカーチューニングは、その日に出す音を決める重要な作業です。

慎重に行い本番で皆が満足する音質を提供することがPAオペレーターの仕事ですので、日々トレーニングを重ねて精度の高いチューニングが出来るようにしましょう。