ライン入力する楽器を使用する際の注意点
ライブをする際には、PAが各楽器(パート)の音をミキサーに入力し、それをバランス良くミックスしてメインスピーカーから出力します。
楽器の音をミキサーに入力する際は、以下の2種類の方法があります。
- マイクで音を入力する
- ラインで音を入力する
「マイクで音を入力する」という方法は、シンプルな方法です。
入力したい音のところにマイクを設置して、それによって音を拾うというやり方です。
一方、ライン入力というのはマイクを使用せずにミキサーに直接音を入力するという方法です。
ライン入力の代表的な楽器は
- ベース
- キーボード
- アコースティックギター
- 同期音源
などがあげられます。
これらの楽器の音をミキサーに入力する際には「DI」という機材を通してミキシングコンソールに送ります。
DIはDirect Injection boxの略で、この機材の役割としては、簡単に言ってしまうと、楽器の音をノイズが発生しにくい信号に変換してミキサーに送るといった役割を果たします。
このようなライン入力の楽器を使用する際には、2つの注意点がありますので、1つずつ解説していきます。
「楽器側の音量のレベルは動かさない」が原則
ベース、キーボード、アコースティックギターは、それぞれ手元で楽器のボリュームを調整できます。これらのボリュームは、基本的にはライブ中にいじらない方がベターです。その理由は以下のようなものです。
お客さんの耳やPA機材を壊してしまう
急に音量を上げられてしまった場合は、ミキサーに急に大きな信号が入力されます。つまり、スピーカーからいきなり大きな音が出る可能性があるのです。これは、ライブを見に来たお客さんの耳にも良くないし、スピーカーも最悪の場合は壊れてしまいます。私は昔、同期音源でこれをやられて、スピーカーを壊されてしまったことがありました。リハーサルの設定で本番に臨んだら、同期音源側のボリュームがリハーサルの時よりもはるかに大きくなっており、かなり大きな音が会場に響き渡ってしまいました。
モニターのバランスが崩れる
モニタースピーカーから出力される音は、リハーサルの時に調整を行い、その設定を復元して本番に臨みます。モニターの音がリハーサルの時のバランスを再現するための条件は、各楽器の出力音がリハーサルの時と一緒であるということです。もし、本番中にライン入力する楽器側でボリュームを調整してしまうと、モニターの音のバランスも崩れてしまうのです。
これに関しては、マイク入力する楽器においても共通のことですね。
このような理由から、一度決めた楽器のボリュームは、意図がない場合には動かさないのがベターなのです。
楽器のケーブルを抜き差しする際はPAの指示に従う
ライン入力する楽器を使用する際には、基本的にシールドケーブルでDIと接続することになります。つまり、DIにケーブルを挿したり、抜いたりする作業が発生するのです。 この作業を行う際には、必ずPAオペレーターの指示に従いましょう。勝手に抜き差しすると以下のような現象が起こります。
スピーカーから「ボンッ!!」といった音が出る
これは、メインスピーカーからノイズが出るということになるので、お客さんもびっくりしてしまいます。また、PA機材にもダメージを与える可能性があるものなのです。
このようなことを起こさないようにするためには、ケーブルの抜き差しをする際には、「ケーブルを抜いて大丈夫ですか?」とPAオペレータに確認するのが一番良い方法です。そのように言えば、PAオペレーターはそのチャンネルをミュート(音が出ない状態)にしてくれます。その状態であればケーブルを抜き差しをしても「ボンッ」といったノイズが出ることもありません。
以上のような点を守っていただき、安全にライン入力楽器を使用しましょう。