リハーサルと本番で環境は大きく変わる

初めてPAをする時に多くの方が気づくことがあります。

それは「リハの時と音が全然違う・・・」ということです。

私も初めてPAをした時にこのようなことを感じた記憶があります。

実は、この感覚は正しくて、「リハーサルと本番では音が異なってしまう」のです。

それでは、なぜ音が変わってしまうのでしょうか?

リハーサルと本番での変化点

リハーサルと本番で大きな変化があります。それは「お客さんがいるかいないか」です。

リハーサル時には当然ながらお客さんは会場にはいません。

しかし、本番になるとお客さんは会場を埋め尽くします。

その変化点こそがリハーサルと本番での音の違いに現れるのです。

その他、室温だったり湿度だったりの変化はあるものの、音に大きく影響を与えるのはお客さんの有無なのです。

お客さんが音を吸う??

それでは、なぜお客さんが入ると音が変わるのかを解説していきます。

お客さんが入ることにより「吸音」という現象が起こります。

つまり、お客さんが吸音材となってしまします。

特に冬はこれが顕著になります。

それは、服装が変わるからです。

お客さんが吸音材になると書きましたが、厳密に言うとお客さんが着ている服が吸音材になります。

冬は寒いので厚着しますよね?

「Tシャツとダウンジャケットのどちらが音を吸いやすいか?」という質問をした時に多くの方は「ダウンジャケット」と答えるはずです。

これが冬の方が音が吸われやすい理由です。

このようにPAの現場においては、お客さんが音を変化させる要因となってしまいます。

本番では、これをいち早く補正することが求められます。

吸音の影響とその対応

外音に関して言えば、低音の吸音が一番わかりやすいかもしれません。

バンドオペレートなどでは、低域が吸われてしまうと迫力がなくなってしまったりします。

これは聞いているお客さんも「あれ?」となってしまうレベルです。

私はリハーサルでは、お客さんを入れた時のことも考慮して多少低域は強めにセッティングします。

しかし、お客さんの入り状況によって変わってきますのでどちらにしても補正は必要です。

中音に関してもリハーサルとは違った聞こえ方になってしまうはずです。

その原因は外音の反射音の状況が変わるからです。
リハーサルの時はあった反射音もお客さんを入れた瞬間になくなってしまうということは起こり得ます。

例えば、リハーサル時にドラマーが「ギターは(反射音で)聞こえているからモニターの返しはいらないです」となった場合でも、本番になると反射音の状況が変わり聞こえなくなるというのはよくある話です。

ミュージシャン側としても、絶対にモニターしないとダメなパートはしっかりとモニタースピーカーから返してもらうようにすべきだと思います。

モニターの補正としては直接音を聞きに行くことは出来きないので、ミキサーからヘッドフォンでモニターに返っている音を聞いて補正するということが必要です。

また、オペレートをする際には当たり前ですが常にミュージシャンの表情を見ているようにしましょう。

聞こえにくそうにしていたら、それを予測して音量・音質の調整をしてあげることも時には必要です。