現場調査の実施
PAの依頼を受けて概要を確認したら、その後「現場調査」を実施します。「現調」などと略されることもあります。
現場調査は電話やメール、口頭だけでは分からない事を確認するために実施します。
私の場合、現場調査では項目は以下の様な項目を確認します。
目次
搬入関連情報の確認
まずは、機材を搬入するために確認すべき項目の確認を実施します。
具体的な項目としては、
車の搬入口の確認
ホールなどの場合は専用の搬入口があるため問題ありませんが、野外などの野場合は芝生エリアなどが車の進入を禁止している場合も多いので、そのような点を確認しましょう。
機材の搬送を考えると、出来るだけステージ、PA席に近いところで荷降しが出来るように交渉しましょう。
搬入口の幅、高さ確認、ステージまでの導線
搬入口の幅、高さ、ステージまでの導線の確認
結婚式場やカフェなどの音楽専用でないの会場の場合は、搬入経路が極端に狭い場合がありますので、寸法を確認しましょう。
また、ステージまでの導線上に障害物は無いか?それが搬入に影響は無いか?などの確認を実施します。
これに応じて機材のパッキングも工夫する必要があります。
ステージの構造・寸法
ステージにも様々な種類があります。
このステージの種類によってPA側でもスピーカーの置き方、数などのセッティングが変わってきます。
また、ステージの規模によって使用するケーブルの長さ、本数を変える必要も出てきます。
例えば、狭いカフェでのライブなのに全て30mのケーブルを使っては足元がケーブルだらけになってしまいますよね?
スピーカーに関しても大型のスピーカーよりも小型のスピーカーが適していることが分かります。
このようにステージの種類に応じてセッティングを変更していきます。
電源の場所、容量、コンセントの種類確認
PAをするためにはなくてはならないのが「電源」です。いくら素晴らしい機材でも電源がなければ動きません。
電源の場所は出来るだけ近くにある方が理想です。遠くの電源コンセントから電源を引っ張ってくると、電源ケーブルの長さも必要になります。
また、電源ケーブルを通す場所は出来るだけ人が歩かない場所を選択した方が良いです。
足を引っ掛けて電源が抜けたなんてことになったら大変です。人が通るところにケーブルを通す場合は、必ず養生を行いましょう。
簡単なのは、養生テープでの養生する方法です。
よりしっかり養生する場合は「ケーブルプロテクター」というのを使用する場合もあります。
次に電源の容量を確認します。
電源の容量は通常「○○A(アンペア)」で表現されます。
アンペアとは電流の単位なのですが、機材の消費電力は「○○W(ワット)」で表現されます。
それではアンペアとワットはどのような関係があるのでしょうか?
電力(W) = 電流(A) × 電圧(V:ボルト)
の関係が成り立ちます。多くの電源コンセントは、100V仕様であり、また、ほとんどの機材は100V仕様となっております。
つまり、
電力(W) = 電流(A) × 100V
となります。
つまり、2,000Wの消費電力のPAシステムを使用する際には少なくとも20Aの容量が必要ということになります。
ただし、電源は余裕を持っておきたいものです。消費電力の2倍の電源容量があるのが理想です。
また、電源コンセントにも種類があり、代表的なものは2種類です。
- 平行コンセント
日本の一般家庭で使用されているコンセントです。
電圧は100V仕様となっています。大半の機材はこのコンセントの仕様となっています。 - C型コンセント
一般家庭に無いコンセントです。
照明など大電流がを流す際に用いられるコンセントです。
PA機器でも一部の大容量アンプではこのC型端子を使用しているものもあります。
ホールなどでは、こちらのC型端子がほぼもれなく設置されています。
ただし、通常の平行コンセントも用意されている場合がほとんどです。
PA席の設置可能場所とステージまでの距離
PA席は会場の規模や客席の設置方法によって大きく左右されます。
ライブイベントなどではステージ正面における場合が多いですが、盆踊りなどの祭り系のイベントの場合は、客席は空けておかなければならないため、会場の端にPA席を設置する場合もあります。
これは、主催者や会場側、電源の取り方などを総合的に判断し、設置場所を決めていきましょう。
また、ステージからPA席の距離も測っておきましょう。
ステージ・PA席間はマルチケーブルで繋げる場合がほとんどです。
必要なマルチケーブルのケーブルの長さを算出するためにもステージ・PA席間の距離は測っておきましょう。
会場側から貸し出し可能な備品
基本的には全て持ち込みが原則ですが、借りれるものは借りても問題ありません。
ホールなどでライブをする際にはPAミキサー用のなどは会場のものを使用する場合が多いです。
会場によってはレンタル料が加算される場合もありますので、確認の上依頼をするようにしてください。
ここに書いたことは、あくまで私が行っていることですので、自分で気になるところは会場の管理者の方に質問して不安要素が残らないようにしておくことが重要です。