音の中心が変わる「ハース効果」とは?
「ハース効果」という言葉を皆さんは聞いたことがあるでしょうか?
私はPAに関わるようになるまで聞いたことがありませんでした。
おそらく知らない方も多いと思いますので説明していきます。
「ハース効果」というのは、ライブ会場などの複数のスピーカーから音が出ている時に、どの位置で聞いているかによって定位(見かけ上ステージのどの部分から聞こえるか)が変わってくるという現象です。
以下の図をご覧ください。
ステージに向かってAさん、Bさん、Cさんという3人のお客さんがライブ見ていたとします。
このときにAさんは左のスピーカーから近く、右のスピーカーからは遠い状態になります。
すると、ステージ上の音としては、少し左から出ているように感じます。
逆にCさんは右のスピーカーから近く、左のスピーカーからは遠い状態になります。
この場合は、ステージ上の音は少し右から出ているように感じます。
Bさんは中央で聞いているため、ステージ上の音は中央から出ているように聞こえます。
人間の耳は、先に聞こえた大きい音を優先する特性があります。
そのため、Aさんは近くにある左側のスピーカーの音が大きく聞こえ、右側のスピーカーの音は小さく聞こえます。
すると、音の中心が少し左にずれて聞こえるということが起こります。
これが「ハース効果」です。
この法則を応用すると、右側のスピーカーの音を大きくすることでAさんが感じる音の中心を中央にずらすことができるのです。
通常、左右のスピーカーの音量は同一にしますが、会場のレイアウトによって定位が中心にならない場合があります。
その際にはミキサーの「PAN(左右のスピーカーの音量バランスを変える)」機能を使用して音の中心を変えることもできます。