用途別PAシステム『アイドルイベント編』

今までPAに関わったことがない方にとっては、PA機器選びははよくわからないものですよね。
そんな方のために、少しでもお役に立てればとこの記事を書いております。
今回は、アイドルイベントに使用するPAシステムについてご提案させていただきます。

システム構築のポイント

アイドルイベントは、基本的には楽器を演奏するというパターンは少なく、CDなどの音源を流し、それに合わせてアイドルたちが歌うというパターンがほとんどです。

また、イベントが行われる場所も様々ですが、ある程度音量の出せる場所でのイベントを想定した提案内容となっています。

PAシステムの要件は以下のような感じです。

  • 4つ打ちのバスドラムが入った音源などが多い傾向にあるので、その音をしっかりと再生してあげたいので、サブウーファーは必須
  • アイドルは踊りながら歌うため、ワイヤレスマイクの使用がMUST
  • モニターに関しては、サイドフィルのみで対応
  • ミキシングコンソールのチャンネル数は、使用するワイヤレスマイクの本数にもよりますが、16chあれば余裕

PAシステム提案

メインスピーカーは、フルレンジスピーカーとサブウーファーを組み合わせた構成で、モニターようにサイドフィルスピーカーを2台設置しています。

システム構成例

ミキシングコンソール

ミキシングコンソールについては、バンドに対応するほどたくさんのチャンネル数は必要ありませんが、16チャンネルくらいのミキサーは使いたいところです。

そうなると、YAMAHAのMGP16Xというミキサーあたりが良いでしょう。

10本のマイクを接続でき、2系統のステレオ入力が可能な可能。

また、エフェクトも2系統使用できるので、様々なニーズに対応できます。

スピーカー

スピーカーについては、低価格ながらそれ以上の音を出せるElectro VoiceのフルレンジスピーカーELX115とサブウーファーELX118の組み合わせが良いでしょう。

また、サイドフィルのモニタースピーカーについては、メインスピーカーと同様のELX115または、一回り小さなELX112を使用すると良いでしょう。

パワーアンプ

パワーアンプは、スピーカーの許容入力値以内のものを選びましょう。

あまり出力の大きなパワーアンプを選ぶと、スピーカーの破損の原因になりますのでご注意ください

「今回ご提案するのは、スピーカーと同じElectro Voice製のQ99というパワーアンプです。

400E(8Ω)の出力を持つパワーアンプなので、ELX115との相性も良いでしょう。

グラフィックイコライザー

グラフィックイコラーザーは、最悪無しでもとりあえず音は出ますが、音質補正が出来なくなってしまうのでシステムに組み込むことをおすすめします。

グラフィックイコラーザーの使い方については、こちらの記事をご覧ください。

今回提案するグラフィックイコライザーとしては、dbxの1231というモデルです。

31バンドのグラフィックイコライザーで、フェーダーは41mm仕様となっています。

15バンド仕様のグラフィックイコライザーも存在しますが、より細かな調整を行うためにも31バンド仕様をおすすめします。

また、フェーダー長についても20mm仕様のものもありますが、よりシビアな調整ができるのは41mm仕様のグラフィックイコラーザーなので、フェーダーは41mm仕様をおすすめします。

マイク

マイクに関しては、ワイヤレスマイクが必須条件となってくる場合が多いでしょう。

ワイヤレスマイクの混線によるトラブルを避けるためには、A帯と呼ばれる使用するのに免許が必要な帯域に対応したワイヤレスマイクを使用するのがベストですが、アマチュアレベルでA帯の免許を持っている方はあまりいないと思いますので、それ以外のご提案をさせていただきます。

今回、ご提案するワイヤレスマイクはLINE6 XD-V75です。

こちらのワイヤレスマイクは2.4Ghz帯という帯域の電波を使って音声信号を送る方式をとっています。
これは、Wi-Fiと同じ帯域の電波です。
従って、Wi-Fiの電波と干渉する可能性が高いのですが、そこは運用方法でカバーすることも可能です。
ワイヤレスシステムの運用については、もう少し詳しく知りたい方は以下の記事もご覧いただけると良いかと思います。

CDプレイヤー

アイドルイベントにおいては、CDでのオケ出し(音源の再生)は非常に重要な仕事になります。

その音源を流すために必要なのがCDプレイヤー(CDデッキ)です。

ここでおすすめするCDプレイヤーは、TASCAMのCD-200SBです。

こちらはのCDプレイヤーは、CDだけでなくSDカードやUSBメモリーに入っている音楽データの再生も可能なモデルです。

もし、異なるディスクを立て続けに再生しなければならない場合は、1台のデッキでは対応できないため、2台のプレイヤーを使用するのが良いでしょう。

まとめ

アイドルイベントにおいては、バンドスタイルのPAのような1本1本のマイクの音質補正は必要ありませんが、ワイヤレスシステムの運用やオケ出し(音源のスタート、ストップ)等の対応があるため、違った大変さがありますね。