
インイヤーモニター(イヤモニ)のメリットとデメリット
インイヤーモニターというのは、「In ear」つまり、耳にイヤフォンを直接入れて、そのイヤフォンからモニターしたい音を出力するという機器です。
イヤモニと略して呼ばれることが多いかもしれません。
以下の写真はイヤモニの代用選手であるSHURE PM300という機種です。
インイヤーモニター初心者にはおすすめの機種ですね。
ワイヤレスマイクとは逆で、ディスプレイが付いている本体(上記写真の左側)が送信機、プレイヤーの体に付けておくボディーパック(上記写真の右側)が受信機となります。
ミキシングコンソールから出力されたモニター用の信号を本体に入力し、そこから無線で受信機側に信号を飛ばすという仕組みです。
ボディーパックにはイヤフォン端子が装備されており、そこにイヤフォンを差し込んで使用します。
近年、このようなインイヤーモニターシステムを使用するアーティストが増えています。
バンド系のミュージシャンだけに限らず、ジャニーズの嵐などのアイドルもライブにおいて使用していることが多いですよね。
その人気の理由は何なのでしょうか?まずは、インイヤーモニターを使用するメリットについてご説明していきます。
目次
インイヤーモニターを使用するメリット
インイヤーモニターを使用するメリットはいくつかありますが、その中で最も重要なメリットは、「どこにいても同じ音でモニターできる」ということです。
ライブでのモニターと言えば、足元にあるフロアモニターやサイドフィルスピーカーから出力される音をモニター音として使用するのが一般的です。
しかし、このようなモニター方法だと、スピーカーが固定されているため、自分が動いてスピーカーの音が届かないところに行ってしまうと、音が聞こえなくなってしまうのです。
一方、インイヤーモニターは、音が出ているところが耳に直接装着したイヤフォンなので、いくら動こうが音が変わることはありません。
基本的には、小さなライブハウスなどでの会場ではあまり問題にはありませんが、大ホールやアリーナなどといったクラスの会場になると、モニタースピーカーから離れてしまうと全く音が聞こえないということも起こり得ます。
そのような問題の対策としては、インイヤーモニタというのは非常に理にかなった解決策であることが分かります。
これ以外にもインイヤーモニターを使用するメリットがあります。
それは、「ステージ/客席の音がすっきりする」ということです。
ステージ上にいくつもモニタースピーカーを並べて音を出した場合、通常は、それぞれのモニターで異なるバランスの音が鳴るので、ステージ上は様々な音入り混じった状態になってしまいます。
そして、その音をマイクが拾って、更に音が曇ります。
仮にステージ上のモニタースピーカーを排除して全ての演者がインイヤーモニターを使用すれば、上記のような現象は起こらないため、ステージ上の音はぐっとすっきするのです。
また、モニタースピーカーの音は客席にも少なからず漏れてしまいます。
インイヤーモニターを使用することにより、ステージ上の中音のボリュームを下げることが出来ます。
そのため、客席に届いてしまうステージ上の音は少なくなり、客席の音はすっきりするという効果が得られるのです。
インイヤーモニターを使用するデメリット(リスク)
上記のように、たくさんメリットがあるように見えるインイヤーモニターですが、当然デメリットもあります。
そのひとつが「音が途切れる可能性が高い」ということです。
インイヤーモニターというのは、ワイヤレス(無線)機器ですので、信号の伝送が絶対に途切れないという保証はありません。
一方、ケーブルでしっかり配線されたモニタースピーカーは、音が途切れるリスクは圧倒的に低いのです。
インイヤーモニターで音が途切れてしまうと、一切音が聞こえなくなってしまいます。これはかなり重大なデメリットです。
もう一つのデメリットは、想定外の過大入力が入ってきてしまった時に耳を傷める危険性があるということです。
インイヤーモニターは、耳に直接音を送り込むため、いきなり大きな音を送ってしまうと耳を傷めてしまう可能性があります。
以前に、同期音源を使われるアマチュアバンドさんのオペレートをした際に、リハーサルは問題なかったのですが、本番で同期音源のマスターボリュームをかなり上げてしまって、大音量の音源が会場に響き渡ったということがありました。
この時、幸いインイヤーモニターを使っているメンバーはいなかったのですが、もしインイヤーモニターを使用していたら・・・と思うとぞっとします。
このようにインイヤーモニターには、デメリットも存在します。
まとめ
インイヤーモニターは非常に便利なものですので、ぜひライブで活用していただきたいのですが、使用するに当たってはある程度の知識と運用方法を知っていないと思わぬ事故を起こしかねません。
ミュージシャンにとって大切な耳をPAオペレーターが壊してしまったなんてことになったら目も当てられません。
「安全第一」で便利なインイヤーモニターをしようしていきましょう。