
ライブで良い音を出すための知識~エレキギター編~
ライブでエレキギターを良い音で鳴らすためには?というのをPA的な観点で書いていきます。
エレキギターはギター単体ではライブで通用するような音量が出せません。
そのためにギターアンプがあるのです。
またギターはバンドの中でも多数の音色を使用する楽器です。
そのためにエフェクターが必要なのです。
このように、ギターの場合はギター本体、アンプ、エフェクターが音の良し悪しを決める主な要因になるということです。
それでは、順番にご説明いたします。
ギター本体
ギターは様々な種類のものがあります。
その中で自分が使うギターを選ばなければなりません。
ギターに関しては、安いギターは安い音がするというのが私の感想です。
高いギターほど良い音がします。
それは、素材が違ったり、載っているピックアップが違ったり、特殊な改造をしてあったりするからです。
また、張ってある弦の種類でも音は大きく異なります。
ギターに関しては、基本的には「自分が気に入ったものを買う」で良いと思いますが、PA的な観点で言うと、「弦の音をきれいに拾ってくれるギター」が良いと思います。
安物のギターはピックアップから拾った音がそもそも少し歪んでいて、痩せた音になっていたりします。
これでは、いくらエフェクターを通そうが何しようが音は良くならないのです。
まずは、素材である弦の音をきれいに拾ってくれるギターを選んだ方が良いと思います。
ギターアンプ
ギターアンプは、ギターが拾った弦の音を増幅してスピーカーから鳴らすための機材です。
細かい音作りのセッティングは私の専門外なので触れませんが、それ以外の観点で音を良くするためのギターアンプについての知識を書いていきます。
ネジ類は緩みなく締める
アンプについてるネジ類は緩みがないようにしっかりと締めましょう。
アンプで使用されるネジは、音を鳴らすスピーカーと筐体(箱の部分)とを止めている部分に多く使用されています。
ここに緩みががあると、箱にうまく振動が伝わらず、良い具合に箱鳴りが得られなくなってしまいます。
そしてヌケも悪くなります。
キャスターは無い方が良い
運搬の都合上、キャスターが付いているアンプは多いですが、良い音にするという観点ではキャスターは無い方が良いのです。
理由はキャスター部分で振動が吸収されてしまうからです。
床に直置きした方がその影響は減らすことができます。
PAがマイキングする位置を考慮して音作りをする
ライブをする際にどこで聞いた音を基準に音作りをしていますか?
アンプの前に立った状態で音作りしていないでしょうか?
PAがギターアンプの音を拾う際には、オンマイクつまり、ギターアンプにかなり近い位置でマイクを設置します。
このマイクに良い音が入らなければメインスピーカーから良い音は出ないのです。
したがって、マイキングする位置での音を必ず確認するようにしてください。
アンプの裏側の音の対応
実はアンプの裏側からも音が出ています。
しかも正面に出ている音の逆相(振動の波形が真逆)の音が出ています。
この音が正面に回り込み良い音になる場合もあるのですが、基本的には音作りをしにくくする要因になります。
更に、ライブではギターアンプの正面の音に対してオンマイクで音を拾うため、アンプの後ろから出る音は必要無い音となります。
そのため、アンプの後ろに音が出ないように開口部を塞ぐ必要が出てきます。
最初から、板で塞がれているアンプもありますが、無ければ自分で板を張ります。
また、即席対応としては、アンプの後ろを壁にくっつけるという方法もあります。
エフェクター
エフェクターといっても、オーバードライブ、ディレイ、コーラスなど様々な種類があります。
これらの細かい音作りについては千差万別のノウハウがあるので、このページでは深くは触れません。
エフェクター絡みで、PAにとって一番困るのが「エフェクターをONにした時の音量差」です。
例えばクリーンサウンドを弾いている時はちょうど良い音量だったのに、歪みのエフェクターを踏んだ(ONにした)瞬間にいきなり音量が大きくなってしまう場合があります。
こうなってしまうと、PAがで音量のバランスが取れません。
これは初心者に多いです。
ライブ慣れしている方にとっては当たり前のことですが、実際に現場で分からずに困っている方を見たことがあったので書かせていただきました。
また、音作りについて少し触れますが、「1人で弾いている時の良い音とバンドで合わせた時の良い音は違う」ということです。
個人練習時には「良い感じに音が仕上がった!」と思っても、いざバンドで合わせてみると「あれっ?」ということはバンドのPAをやっていてよく起こることです。
従って、ギターの音作りは個人でやることも重要ですが、最後のツメはバンド全体で合わせた時に実施してください。
最後に、アンプから出す音量について触れます。
ライブになると「ボリューム全開!」といってフルボリュームで鳴らす方がいらっしゃいますが、PAとしては、非常にやりにくくなります。
むしろお手上げ状態になります。PAは基本的には入ってきた音を大きくする作業です。
従って、元の音源から出ている大きな音を小さくすることは出来ません。
アンプから出す音量は、スタジオ練習でバンド全体の音がバランスよく聞こえる程度の音量にすることが良い音でライブをするポイントです。