ライブで良い音を出すための知識~ドラム編~

ドラムは、ベースと共に「リズム隊」と呼ばれ、バンドの軸を担うパートです。

一言に「ドラム」と言ってもシンプルなセットからものすごく複雑なセットまであるのですが、PA的な観点で「良い音」を出すためには出来るだけシンプルなセッティングが望まれます。

シンプルなセッティングの例としては以下のようなものがあります。

シンプルなドラムセットの場合のメリットは、マイクを立てるポイントが少なくて済むため、十分なマイキングが出来るということです。また、各パーツの音のかぶり(音がぶつかること)も最小限で済みます。

逆に以下のような複雑なドラムセットだとどうでしょう。

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この写真で見えるバスドラム、スネア、タムだけでも15個あります。

これにそれぞれマイクを立てようと思うと、ミキサー側では15チャンネル分必要になります。

これにシンバル類をあわせると20本近くのマイクを使用することになります。

例えば32チャンネルのミキサーを使用したときにドラムだけで20チャンネル使ってしまったら他の楽器や歌用のチャンネルがなくなってしまうのです。

そのため、ドラムマイクの節約を考えます。

例えば、スネアはスナッピーの鳴りも含めてきれいに集音しようとすると、上下に1本ずつマイクを立てる必要がありますが、チャンネル数の制約を考慮すると、スネアには1本しか使えないというようになってしまいます。

こうすることで2本使用した時に比べるとPA側での音作りの幅は狭まってしまいます。

このような複雑なドラムセットはステージ映えはバツグンなのですが、PAにとっては大きな問題になるわけです。

世の中には様々なドラムセットがあることを理解していただいた上で、もっと深い部分に入っていきたいと思います。

PAは演奏者が出す音をそのまま大きくしてメインスピーカーから出すというのが基本です。

すると、PAを通さない状態で良い音が出ていないとPAでよい音は出ないということです。

そこで、ドラム自体を良い音で鳴らすためのノウハウを書いていきたいと思います。

しっかりとした音量で鳴らす

ドラムを叩く際には、各パーツの音量バランスが良い叩き方をすることが望ましいです。

初心者でよくありがちなのは、「スネアはある程度の音量が出ているけれども、バスドラムがものすごく弱い」というパターンです。

これによってPA側でどういう困りごとが起こるかというと、バスドラムの音作りをする際に、必要以上にマイクの音量を上げなければならないのです。

こうなると、バスドラムのマイクに入ってくる他の音(例えばスネア)の音も大きくなってしまうのです。

こうなると、バスドラムの本来の音がメインスピーカーから出せなくなってしまいます。

だからこそ、各パーツの音量バランスが揃っていることが望ましいのです。

これは、叩き方を変えることで解決できる場合が多いです。

見ていて「力任せに叩いている人」というのは各パーツの音量バランスが悪い傾向にあります。

逆に「力を抜いて叩いている人」というのは音量バランスが良い傾向にあります。

この違いは、打面に当たる瞬間のスティックのスピードが関係していると私は考えます。

力任せに叩いている人は、打面に当たる時の特徴としては「パワーはあるけれどもスピードが無い」と表現できます。

力を抜いて叩いている人は「パワーは無いけれどもスピードが速い」と表現できます。

結果から言うと、「パワーは無いけれどもスピードが速い」の方が大きくはっきりした音が出るのです。

スティックは力を抜いて、手首のスナップをきかせ、打面に当たる時に最高のスピードで当たるような叩き方をマスターしましょう。

すると自然と全体の音量バランスが良くなってくるはずです。

あとは、打面の角度も重要です。

以下の図をご覧ください。
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上図の左側のように、打面に対してスティックが出来るだけ平行になるように打面の角度を調整しましょう。



こうすることでスティックのパワーが全て打面を叩く力になります。

一方、上図の右側のように打面に対して角度がついてしまうと、スティックのパワーが全てヘッドに伝わらず、十分な音量を得られない場合が多いです。

ヘッドの緩みは音を濁らせる

ドラムのチューニングをしたことがある方は実感いただけていると思いますが、「ドラムの音はチューニングで大きく変わる」のです。

おそらく、同じドラムセットを初心者がチューニングするのとベテランがチューニングをするのでは、その音に雲泥の差が出ます。

それくらいチューニングは大切です。

チューニングのやり方についてはこちらのサイトが詳しく書いてありますのでご参考にしてください。

チューニングする際には、バスドラム、スネア、タムなどの太鼓類はヘッドを締めているネジが均等にしまっていないと良い響きを得られません。

また、このネジはドラムを叩いているうちに振動によって緩んでいくのです。

従って、定期的にねじを外してチューニングをし直すということを実施することをおススメします。

また、ヘッドの種類によっても音は大きく変わります。このあたりは好みの部分でもあるので、いろいろ試してしっくりくるものを選んでください。

ただし、初心者にはこのような作業は難しい部分もありますので、以下のようなヘッドの張り具合を数値で表示してくれるツールを使ってチューニングをしてみるのも良いかもしれません。

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ミュートの効果

PAを通した音を考えた場合、太鼓類はミュート(振動を抑えること)をしておいた方が良いです。

ミュートにも様々な方法がありますが、私の場合は、ティッシュと養生テープで行います。

ミュート専用のジェルパッドのようのなものを使用するのもアリですね。

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数枚重ねたティッシュを折りたたみ、それを太鼓の打面にガムテープでとめるといったシンプルな方法です。

私はいろいろと試しましたが、ミュートをしているドラムの音の方がよりタイトでツブ立ちの良い音をメインスピーカーから出すことが出来ます。

ミュートをしていない太鼓は良くも悪くも余韻が残ります。

和太鼓などはこの余韻が無いと「あれ?」となってしまいますが、ドラム(特にロックドラム)の場合は、余韻が無い方がPAとしては音が作りやすいです。

余韻が強いドラムセット(例えばタム)のPAをする際には、PA側では、個の余韻をカットするような処理をしています。

これがゲートをかけるという作業です。

ゲートというのはある一定以上の音が入力された時にのみ音を出力するというPAで使用するエフェクターです。

つまり、余韻の音以上、タムの音未満の音の大きさのレベルに出力するかしないかのしきい値(スレショルド)を設定します。

こうすることで、余韻の音は出力せずにタイトなタムのアタック音のみを出力できます。

ただし、ゲートなどの余分な機材を通すことになるので、不自然な音になりがちです。

一方、タムをミュートした場合は、余韻は抑えられるため、ゲートなどの余計な機材を使用しなくても良くなります。

そのため、より自然な音が出せるという訳です。

ミュートをしたドラムセットはドラマーの位置で聞くとイマイチ迫力の無い音に感じますが、マイクを置いている位置では良い音で鳴っている場合が多いのです。

PAを通したときに良い音にするためには、マイクのところに良い音が鳴っていることが重要です。

このようなことを意識しながら、ドラムセットの構成、叩き方、チューニングを色々と工夫してみてください。