ライブハウスのドラムセットはチューニングする?

ライブハウスでライブをする際には、ドラマーは基本的にライブハウスに常設のドラムセットを使用することになります。
ここで、よくある疑問が「常設のドラムセットのチューニングをするかどうか?」ということです。
ここで言うチューニングというのは、ドラムセットのスネアやタム、フロアタム、バスドラムなどのタイコ類のチューニングのことを言います。

チューニング自体は専用のチューニングキーを使用すれば簡単に行うことができますが、ここでの問題はそれチューニング自体を行って良いもであろうか?ということです。
結論から言うと「あまり行わない方が良い」ということになります。
それでは、その理由をご説明していきます。

ライブハウスの音は、その店の人が1番よく知っている

ミュージシャンがそのライブハウスでライブをするのは多くて月に数回というところだと思いますが、そのライブハウスのPAさんはほぼ毎日そこで働いており、そのライブハウスの音を聞いているわけです。
そして、長い間かけてそのライブハウスの「音」を良くしてこようと努力してきたはずです。
このことを考えると、ライブハウスの音については、その店の人に判断を委ねるというのが賢明な判断だと思います。
特にドラムという楽器は多くのパーツが存在し、1番音作りが難しい楽器です。
マイクを置く位置を少し変えるだけでも音が大きく変わったりします。
そして、ドラムのチューニングというような大きな変化を加えてしまうと、メインスピーカーから出る音は劇的に変化してしまいます。
従って、よほどのことがない限りはドラムのチューニングはいじらない方が良いということになります。

ドラムはマイキングをして音を出している

多くのライブハウスでは、ドラムにマイクを複数本立てて音を拾い、それをミックスした上で大きくしてメインスピーカーから出します。
ということは、「マイキングをする前提でのドラムチューニング」を行っているということです。
生音で良い音が鳴っているドラムの音は、マイクを通してメインスピーカーから出した時に良い音になるとは限らないのです。
従って、ライブハウスのスタッフさんは、マイクで音を拾った時に良い音が出るようにチューニングをします。
このチューニングをいじるということには大きな責任があるということを認識しなければなりません。
明確な「目的」を持ってるのであれば、それをライブハウスのPAさんに伝えた上で許可をもらってからチューニングをしましょう。

ドラムセットは共用する場合がほとんど

ライブハウスではワンマンライブを除き、ほとんどの場合は「対バン形式」と呼ばれる1つのイベントの中で複数のバンドが出演するようなライブを行います。
そのような場合には、転換の時間も限られていることもあり、ドラムセットは常設のものを使用するというのが一般的になっています。
ということは、チューニングを変えてしまうと他のバンドのドラマーにも影響が出てくるということを認識しなければなりません。
「元の戻せば良いのでは?」という意見もありますが、厳密にはドラムのチューニングを元通りに戻すというのはほぼ不可能です。
また、転換時間も無いことからチューニングをやっている時間も戻している時間も無いというのが現状でしょう。
チューニングを行なったがゆえに時間が押し、挙げ句の果てには外音が悪くなってしまうということもあり得ます。
そのようなリスクがあるため、ライブハウスのドラムセットのチューニングはいじらないのが無難です。