ミキサーのチャンネル設定

PAで絶対欠かせない機材の一つであるミキサーですが、「どのチャンネルにどのパートを割り当てるか」「モニターの出力のチャンネル設定」を何も考えずに現場に行くと間違いなくトラブルになります。

「チャンネル数が足りない・・・」
「回線がグチグちゃになってしまった・・・」
「音が出ない・・・」

こんなトラブルにあってしまう可能性が大いにあります。

それでは、どのようにしたらこれを避けることができるのでしょうか?答えは簡単です。

「事前にチャンネル割当を考えておけば良い」のです。

これを専門用語で「アサインプランを考える」などと言います。

アサインとは「割当て」という意味の英語です。

つまり「チャンネル割当の計画を考える」ということになります。

マイクやDIなどの入力の割当は「インプットプラン」と呼ばれて、モニターやメインスピーカーなどのチャンネル設定は「アウトプットプラン」と呼ばれます。

インプットプランの設定方法

インプットプランをしっかり設定しておくことによって、現場で「回線が足りない」「配線がグチャグチャ」などということは無くなります。

インプットプランを考える際には、まずは自分が使用するミキサーに何チャンネルの入力が可能なのかを確認します。

アマチュアで使用するミキサーであれば、8ch、16ch、32chあたりが多いのではないかと思います。

48ch以上のチャンネル数を有するような大型ミキサーもありますが、これは大規模ライブで使用するミキサーになりますので、今回は32chのミキサーを例にインプットプランを考えていきます。

また、PAをする上でインプット数が多くなりがちな「バンド形式」のPAを例にとってご説明いたします。

まずは、私が通常設定しているインプットプランを以下に書きましたのでご確認ください。

  1. キック(バスドラム) in
  2. キック(バスドラム) out
  3. スネア 表
  4. スネア 裏
  5. タム1
  6. タム2
  7. フロアタム
  8. ハイハット
  9. オーバーヘッド L
  10. オーバーヘッド R
  11. ベース
  12. ギター 下手
  13. ギター 上手
  14. DI 1
  15. DI 2
  16. DI 3
  17. コーラス 下後
  18. コーラス 下前
  19. ボーカル
  20. コーラス 上前
  21. コーラス 上後
  22. コーラス ドラム
  23. アコギ
  24. 予備
  25. 予備
  26. 予備
  27. 司会1
  28. 司会2
  29. CDプレーヤー1 L
  30. CDプレーヤー1 R
  31. CDプレーヤー2 L
  32. CDプレーヤー2 R

これが私の通常のインプットプランになります。

インプットプランを設定する際のポイントは、

①同じ種類の楽器は近くにまとめて設定する
→ドラムであれば、1から10chにまとめて設定しています。
その方が音作りやオペレートがしやすくなります。
例えば、2本のギターのバランスを取りたい場合にはチャンネルが隣にあった方が直感的な操作がしやすくなります。

②できるだけステージと同じ配置にする

→コーラスマイクなどの調整をするときにステージと同じ並びでチャンネルが設定されていると
調整がしやすいというメリットがあります。

チャンネル数がもっと少ないミキサーで対応する場合は、必要に応じてマイキングポイントを節約していきます。

マイキングポイントの節約をする際にまず大きなポイントになるのがドラムです。

現状のセッティングだとドラムは10本のマイクを使用するプランになっていますが、16chのミキサーを使用する際にドラムで10本を使用するのはまず不可能です。

このような際には、使用するマイクを減らしていきます。

ドラムに4チャンネルしか使えない場合には、キック、スネア、オーバーヘッドLRの4本で集音すればドラム全体の音をバランス良く集音することができます。

ただし、タムなどの音作りができなくなります。

全体のチャンネルの使用状況を見ながら会場に聞こえないパートが出ないようにインプットプランを設定するようにしましょう。

アウトプットプランの設定方法

アウトプットプランはモニタースピーカーやメインスピーカーに出力するチャンネルの設定をする作業です。

メインスピーカーに送る信号、つまりメインアウトの信号は、アナログミキサーの場合は、専用で準備されていますのでその端子を使用します。

デジタルミキサーの場合は、out1,out2という端子があり、その中から2チャンネル(LRのステレオ出力)を選ぶような形になります。

一方、モニター送りのチャンネルはアナログミキサーの場合は、通常「AUX out」という出力を使用します。

デジタルミキサーはメインで使用していないout端子をモニター出力用として使用します。

モニターの最大出力可能系統数は、アナログミキサーであればAUX outの数、デジタルミキサーであればメインout用の2chを除くoutの数になります。

つまり、4AUX out搭載のアナログミキサーは最大4系統のモニター出力ができるということになります。

例として私が通常使用しているアウトプットプランをご紹介します。

  1. 下手サイドモニター
  2. 下手フロアモニター
  3. ボーカルモニター
  4. 上手フロアモニター
  5. 上手サイドモニター
  6. ドラムモニター
  7. メインスピーカー L
  8. メインスピーカー R

インプットプラン同様にステージ上での位置関係を意識したセッティングになっています。

インプットプラン、アウトプットプランともに個人の好みの要素が大きいため、今回ご紹介した例が正解とか不正解とかはありません。

あなたが思考錯誤し、良いと思った方法を採用してください。