PAは究極のサービス業

PAは技術的な仕事と同時にお客様に直接触れる「サービス業」だと私は捉えています。
世の中にはたくさんの仕事がありますが、その多くは「物を作ったり、サービスを作ったりする仕事」と「物を売ったり、サービスを提供したりする仕事」は分かれている場合が多いです。
例えば、自動車であれば、開発部門が車を開発をして、その車を工場が生産をします。
最終的な販売は販売店の営業マンが行います。
このような体系になっていると開発部門や工場はお客様の意見や反応を見ることが出来ないのです。
一方、PAというのは、お客様がいる前で「音」を作り上げていく仕事なのです。
そういう意味では、寿司職人などは同じ部類に入るかもしれません。
お客様の目の前で寿司を作り、提供する仕事ということなので共通点があります。

PAにおけるお客様とは?

PAという仕事をする時には、私は以下の方々をお客様と捉えます。

  • 会場に来ていただいている方々
  • ステージで出演されている方々
  • 仕事の依頼をいただいた主催者の方々

このような方々に満足してもらえるようにPAの仕事をしていくことが求められます。

PAはサービス業

PAという仕事は、「お客様に「音」という商品(サービス)を提供して満足してもらう」ということから、サービス業と言えます。
実際に私が今まで見てきたPAの方の中でも、本当の意味でこのことを理解できている方は多くはありません。
冒頭にも書いた通り、PAという仕事は、1人(またはチーム)で技術的な仕事とサービス的な仕事を兼任するという非常に難しい仕事だと思っています。
技術的な部分については、一生懸命に知識をつけてPAのノウハウを習得しようとします。
しかし、「サービス」という部分のレベルを上げていこうということを積極的にやっているPAオペレーターの方(PA会社)は少ないのではないかと思います。
PAをするに当たって、技術というのは絶対に必要です。
ただし、それだけでは成り立たないのがPAという仕事です。
「技術」という土台の上に、しっかりとした「サービス」があることによって理想的なPAの仕事が出来上がります。

サービス業の成功の秘訣

サービス業で成功するための方法は1つしかありません。
それは、「徹底的なサービスを惜しみなくする」ということです。
「そんなことまでしてくれるのか!!」とお客様を感動させられれば成功と言えると思います。
「期待通りのサービス」ではなく「期待を超えたサービス」をするのです。PAにおいても同じことが言えます。
例えば、打ち合わせでは、主催者側から「ワイヤレスマイクは使いません」と言われていたにも関わらず、当日になって「ワイヤレスマイクは使えますか?」と聞かれるといった経験をされた方も多いのではないかと思います。
この時に・・・

「打ち合わせで必要無いと言われていたので準備していません」

という対応をしても間違いではありません。
なぜなら、打ち合わせでそのように決めているからです。
一方、このように対応したらどうでしょうか?

「実は、持ってきてあるんです。今からセッティングしますので、少々お時間をいただけますか?」

このような対応をしてもらえたお客様は、「感動」を覚え、きっと次もそのPAオペレーター(会社)を使いたいと思うはずです。
これがサービス業で成功する秘訣なのです。
「感動レベルの対応」こそがPAオペレーターに求められることです。
お客様が言いそうなことは、ある程度PAをしていると分かってくるはずです。
そのような要望に対しては、可能な限り対応してあげるとお客様と良い関係ができ、大きな信頼を得ることができるでしょう。
PAという仕事は、自分の技術を使ってお客様に感動を与えることができる「究極のサービス業」だと私は考えます。