機材への過信は失敗のもと

PAは一度しかチャンスの無い、失敗が許されない仕事です。それに使用するPA機器というのは「信頼性」が高いものでないとなりません。
本番中に音が出なくなったなんてことになってしまったら、目も当てられません。従って、必然的に信頼性の高い機材を使用することになります。

このページは、「機材への過信は失敗のもと」というタイトルですが、信頼できる機材は使用しなければならないのですが、機材を過信してはいけないということをこのページでは伝えたいのです。

機材を過信するとはどういうことか?

ここでいう「過信」というのは、「この機材は良い機材だから、良い音が出る」と思い込んでしまうことです。確かに間違いではありませんが、間違いな部分もあります。PA機器というのは、プロ用の機材ということもあり、一般に出回っているオーディオなどに比べると設定できる幅も広く、使用するオペレーターによって大きく音は変わってしまうのです。また、いくら良いミキサーを使用していても、電源の管理ができておらず、低い電圧でしか電気がミキサーに供給できていなかったら、そもそもミキサーは動かないかもしれません。このように、良い機材でも他の要素によって、その機能が使用できなくなってしまうことがあるのです。

PAシステムはトータルで考えなければならない

ものすごく当たり前のことですが、PAシステムは、マイクやDI、ミキサー、パワーアンプ、スピーカーがつながって音が初めて出るわけです。と言うことは、これらの機器のトータルバランスが重要であるということです。ミキサーが良ければ他の機器は適当でも良い音が出るでしょうか?良い音が出る訳はありません。音響機器には相性のようなものもありますでの、これらのトータルバランスが良い音を出すためには必要なのだと思います。

最終的にはオペレーターの腕

良い機材を使用していても、調整が下手だと良い音にはなりません。この調整をうまく行う努力を怠っている人がまさに「機材を過信している人」なのです。逆にそこそこの機材でも良い音を出せる人はたくさんいます。前者のような人は、ほぼ例外なく音が良くなかったという評価に対して「機材がね・・・」と機材のせいにするのです。一方、後者は、「私のオペレートの腕がまだまだでした。」と自分の腕のせいにします。
将来が明るいのはどちらのオペレーターかというと、もちろん「後者」です。PAは、必ずしも自分が使いたい機材を使えるとは限りません。そのような時に「私はこの機材でないと良い音は出せません」と言うようなことを言った瞬間にその人のPAオペレーターとしての信頼はゼロになります。
どんな状況でも、その機材のポテンシャルを最大限に引き出せるオペレーターでなければなりません。