「場の空気」は伝染する

皆さんは、「緊張がうつる」という経験をしたことはないでしょうか?

何かの発表会や大舞台の本番前などは誰しもが緊張します。

そして、近くに緊張している人がいる時にその緊張がうつるということが良く起こります。

実は、この原理は科学的に証明されているのです。

このようなことが起こる原因というのは、脳の中にある神経細胞「ミラーニューロン」の働きによるものなのです。

ミラーニューロンはものまね細胞とも呼ばれており、自分の意思とは関係無しに周りの人が放つ言葉や考えていることなどもコピーしてしまうという不思議な細胞なのです。

つまり、「緊張がうつる」という現象はミラーニューロンが「緊張」をコピーした結果だと言えます。

このように、ミラーニューロンという細胞は不思議な力を持っています。

ミラーニューロンは、使い方次第

実は、このような不思議な力を持っているミラーニューロンはうまく活用すればかなりの武器になるものなのです。

我々が関わるエンターテイメントの世界というのは、お客さんを楽しませてナンボの世界です。

お客さんを楽しませることが出来なかったイベントは、存在意義が無いと言っても過言では無いと思います。

私は今まで、それなりの数のイベントを見てきましたが、中には盛り上がっているイベント、逆に全く盛り上がっていないイベントもありました。

盛り上がっていないイベントに共通することは、「運営側が盛り上がっていない」という場合が多いです。

運営側がつまらなそうにイベントを運営しているとその「空気」はお客様に伝わってしまうのです。

その空気をお客様の脳の中のミラーニューロンがコピーし、そのお客様は「つまらないイベントだな」と思いながらイベントに参加することになってしまいます。

そのお客様の近くにいる別のお客様は、その「空気」をコピーして、「つまらないイベントだな」と思ってしまうのです。

この連鎖でイベント全体がつまらないものになってしまうのです。

伝染しないためには「強い意志」が必要

我々のようなPAをやっている人間は、音を使って「イベントを盛り上げる」のが役割です。

それにも関わらず、悪い空気に飲まれていたのではいけません。

ミラーニューロンの働きは無意識に機能してしまいます。しかし、実はこれをブロックすることが出来るのです。

それは、「強い意志」をもつことです。

周りがいくら悪い空気になろうとも、「絶対にイベントを盛り上げる」という熱い意志をもってPAをすればきっとその空気を感じたイベント運営スタッフ、お客様が良い空気をコピーしてイベント全体が盛り上がっていくでしょう。

PAはただの音響スタッフではないと私は考えています。

イベントを盛り上げるための重要な役割を担う立場なのです。

「音」の技術はもちろんのこと、このような「姿勢」の部分もしっかりと鍛えていきたいですね。