不動の定番マイク『SM58』の魅力

PAに多少なりとも関わったこととがある方であれば、「SHURE SM58(シュアー エスエムゴーハチ)」というマイクロフォンを知らない人はいないでしょう。

「ゴッパチ」や「ゴッパー」と呼ばれるほどスタンダードになったSM58ですが、スタンダードになるにはそれなりの理由があるのです。

このページでは、それほどPA業界では愛されているSHURE SM58の魅力に迫っていきたいと思います。

SHURE社の歴史

SM58をこの世に生み出したのは、アメリカの音響機器メーカーで、1925年にシドニー・シュア(Sidney N. Shure)がThe Shure Radio Companyという、ラジオ無線機器の組み立てキットおよび完成品を製造販売する個人企業をイリノイ州のシカゴで創業したのがSHURE社の始まりと言われています。

1929年の大恐慌の後にマイクを扱うようになったと言われています。

今はでは、マイクをはじめとし、ヘッドフォン、イヤフォンなどを製造販売しています。

SM58の歴史

SM58は1966年にSHURE社から発売されたダイナミックマイクロフォンです。

元々、SM58はスタジオ用マイクロフォンを意図して作られていました。

1950年代、60年代のボーカル用マイクというのは、ボーカルを正確に捉えることはできましたが、「壊れやすい」というのが難点でした。

また、スタジオの光がマイクにあたると光ってしまい、グレアを生じさせてしまっていました。

そこで、SHUREのエンジニアであったアーニー・シーラーのチームは、スタジオマイクの耐久性とデザインの問題を改良し、理想的なライブボーカルマイクロホンを作り上げるという課題に挑みました。

その結果出来上がったのが「SM58」なのです。

実は、SM58には先代のモデルがありました。

それが「565SD」というマイクです。

565SD

565SDは、伝説のウッドストックでも使用されていたことから「ウッドストックマイクロホン」と呼ばれることもある、デュアルインピーダンス・マイクです。

このマイクの後継機種として開発されたのがSM58なのです。

565SDはボーカル用マイクロフォンとして開発されたマイクなのですが、565SDが登場するまでは、ハンドヘルド型マイク(手で持って歌えるマイク)というのが無く、ボーカリストはマイクスタンドの前から動けなかったのです。

それを変えたのが565SDなのです。

しかし、その代わりに、ハウリングやハンドリングノイズという課題が発生してしまったのです。

それを改善したのがSM58です。

カーディオイド特性によりハウリングマージンを高め、内臓の中空式ショックマウントを入れ込むことで課題に対応したのです。

これにより、ボーカリストは、マイクのことをあまり気にせずにライブパフォーマンスに集中できるようになったということです。

このような高性能なマイクロフォンが出来上がり、それに伴い世界中にたくさんのファンが出来ていきました。

SHURE SM58はこのようにして世界中で愛されるボーカル用マイクロフォンとなっていったのです。

SM58の性能(スペック)

SM58の基本スペックをSHUREのオフィシャルサイトより抜粋しました。

機能

  • 際立つ中音域、低音域のロールオフにより、ボーカル用に最適に調整された周波数特性
  • 均一なカーディオイド・ピックアップ・パターンが主音源を分離し、周囲の雑音を最小限にカット
  • エアー式ショック・マウント・システムがハンドリング・ノイズをシャットアウト
  • 高性能な、内蔵の球形ウィンド/ポップ・フィルタを搭載
  • 180度回転可能で、衝撃にも耐えるスタンド・アダプタが付属
  • Shureの誇る、高品質、高耐久性、信頼性
  • カーディオイド (単一指向性)、ダイナミック型モデル
  • 周波数特性:50 Hz~15 KHz

仕様

  • 形式: ダイナミック
  • 指向特性パターン: カーディオイド
  • 最低再生周波数帯域: 50 Hz
  • 最大再生周波数帯域: 15 KHz
  • 感度 (dBV/Pa): -54,5 dBV/Pa
  • 感度 (mV/Pa): 1,88 mV/Pa
  • 質量: 298 g

SM58の性能の特徴は音質もさることながら「高いハウリングマージン」と「ハンドリングノイズが少ない」ことです。



ハウリングマージンが高いということは、ハウリングしにくいということです。

これは、PAをする上ではかなり重要な性能です。

ハウリング対処に終始するようなライブで「良い音」をる来ることは不可能なのです。

また、ハンドリングノイズについては、ボーカルが動くたびに「ガサガサ」と音が入るようでは、ステージを台無しにしかねません。

このように、SHURE SM58は、ライブにおけるボーカルマイクに必要な性能をきっちりと備えているマイクロフォンなのです。

SM58の耐久性

SM58が世界中で支持される理由の一つとして「耐久性」も挙げられます。

それを裏付けるために、SHURE社では、様々な耐久試験を行っています。

代表的な試験は以下のようなものです。(SHUREオフィシャルブログ「世界で最も厳しい試験を通過するSM58」より引用)

スタンド落下試験

マイクロホンをマイクスタンドに設置した状態から木床に落とします。

異なる角度で衝撃を与えます。

 

落下試験


機械を使用してかなりの高さから木床にマイクロホンを数度落下させて試験します。

落下ごとにマイクのサウンドチェックを行い、機械的破損が発生しているかを確認します。

 

塩霧試験

塩霧と共に密閉空間に長時間放置し、塩度の高い環境でも錆びたり短期間で劣化したりしないかを確認します。

加熱/冷却試験

極度の低温、および極度の高温でマイクロホンを長期にわたり保管し、間隔を置いて音響特性パフォーマンスを数度確認します。

冷熱試験

マイクロホンを極度の高温および低温環境に置き、変化を素早く繰り返します。

試験中、音響特性パフォーマンスを確認します。


このような過酷な試験にも耐えられることが証明されているSM58なので、安心して重要なPA現場で使用できるのです。

これ以外にもSM58の耐久性のすごさを証明するエピソードというものは多数あります。

詳しくはSHUREのオフィシャルブログの「世界で最も厳しい試験を通過するSM58」をご覧ください。

まとめ

SHURE SM58の圧倒的なパフォーマンスをご確認いただけたかと思います。

SM58というマイクは、昔は高級品でしたが、現在では1万円ちょっとで購入することが出来ます。

このマイクは何本持っていても損は無いマイクです。

もしお持ちでないあなたは、まずは一本購入いただき、その実力を確かめていただければと思います。