お客様に音を届ける「PAシステム」とは?

PAは聞かせたい音を増幅させてお客様にお届けするのが目的です。

そのためには、音を入力して、増幅して、出力するような一連の装置が必要になってきます。

これらの装置全体のことを「PAシステム」と呼びます。

PAシステムを構成するためには、複数の機器が必要になってきます。

1つの機器を入手するだけではPAシステムは構築できず、複数の機器をつなぎ合わせることで初めて構築できます。

PAシステムを構築するのに必要な機器

PAシステムを構築するには、複数の機器を組み合わせる必要があります。

では、どんな機材が必要になるのでしょうか?

音の入り口から順番にご紹介していきましょう。

マイクロフォン(マイク)

まずは、PAシステムに音を入力してあげる必要がありますよね?

その役割をするのがマイクロフォン(マイク)です。

マイクは「音」という振動を「電気信号」に変えるための機器です。

音を電気信号に変換してあげることで、この後のミキシングコンソールのなかで扱いやすくなるんですね。

ミキシングコンソール(ミキサー)

マイクからもらった電気信号は、ミキサー入力されます。

そして、ミキサーで「音を整える」という作業をします。

通常は、ミキサーには複数のマイクから音が入力されるので、それらの音の音量や音質をそれぞれ整えて、更にはすべてのマイクの音量バランスを整えるのがミキサーの役割です。

ミキサーの機種にもよりますが、リバーブやディレイなどのエフェクターを内蔵しているミキサーもありますので、そのようなエフェクトを付け加えるのもミキサーの役割ですね。

イコライザー

ミキサーで整えられた音は、通常、「ステレオ」という右と左の2チャンネルの信号に変換されて出力されます。

そして、その信号は次にイコライザーに送られます。

上の写真は「グラフィックイコライザー」という種類のイコライザーで、ミキサーからもらった音全体の補正を行うための機器です。

近年はデジタルミキサーなどが一般的になっているため、グラフィックイコライザーがミキサーに内蔵されていることも多いですね。

このイコライザーを使う目的は「音全体の補正」なのですが、これはつまり、この後にご紹介するスピーカーから出る音の補正ということができます。

もっと言ってしまうと「スピーカーの癖の補正」ということもできます。

パワーアンプ

イコライザーを出た音は、次にパワーアンプに送られます。

パワーアンプの役割は、イコライザーからもらった音(電気信号)を増幅して大きくすることです。

イコライザーからもらった電気信号はとても小さな信号です。

しかし、採取的に「電気信号」を「大きな音」に変えるためには小さな電気信号を大きくする必要があるんですね。

スピーカー

パワーアンプで増幅されて電気信号は次にスピーカーに送られます。

スピーカーは、電気信号を物理的な音に変換する機器です。

これによって、マイクから入力された音が大きくなってお客さんに届けられるんですね。

 

これでだけでもかなりの数の機材を使用することがお分かりいただけるとと思いますが、PAシステムの規模によっては更に多くの機材が必要になることもあります。

PAシステムを構築する上では上記のような機材の特性を熟知し、最も最適な組み合わせでPAシステムを構築することが求められます。

大規模なPAシステムの場合は、PAシステムを考えることがメインの仕事であるシステムエンジニアという方もいらっしゃいます。

また、PAシステムは会場に合わせた設計が必要です。

小さな会場にものすごい出力の大きなPAシステムは必要なく小さなPAシステムで十分でしょう。

逆に大規模な会場の場合は、小さなPAシステムでは十分な音量を得られないため、大型のPAシステムが必要になってきます。

PAシステムは、スピーカーの構成によってそのタイプが分けられます。

ここでは、代表的な4つのPAシステムをご紹介いたします。

代表的なPAシステム

ステレオシステム

ステレオシステムは、最も基本的なPAシステムです。

シンプルなシステムなのでPA初心者でも簡単に組むことが出来ます。

一般的な家庭用オーディオも基本的にはこのシステムになっています。

ミキシングコンソールとパワーアンプ、スピーカーを2台使用します。

ステレオ+モノラルサブウーファーシステム

ステレオシステムにサブウーファーをプラスしたシステムで、2.1chシステムとも言われます。

よく家庭用のサラウンドシステムなどでは5.1chや2.1chというのを聞くことがあるかと思いますが、これは、5台または2台のフルレンジスピーカーと1台の低音用スピーカー(サブウーファー)を使ったシステムのことです。

サブウーファーによる低音の強調効果で迫力のあるサウンドを構築できます。

ステレオシステムの時には必要なかったチャンネルディバイダーが必要なのと、パワーアアンプがもう一台必要になってきます。

チャンネルディバーダーは、ミキシングコンソールから入ってきた信号を低音と中高音に分けてスピ―カーに出力するために使用されます。

ステレオ2WAYシステム

ロック系のライブでは、多くの場合がこの「ステレオ2WAYシステム」です。

サブウーファーも2台使用するため、客席から見た時の見た目のバランスも左右対称になりキレイです。

2.1chシステム同様にパワーアンプは2台必要になります。

ステレオ3WAYシステム

ステレオ2WAYシステムが低音と中高音で分けるのに対して、ステレオ3WAYシステムでは高音、中音、低音の3つの帯域に分けて出力します。

そのため、パワーアンプも3台必要になってきます。

このように帯域を分けてそれぞれのスピーカーから出力することで、得意な帯域の音だけをそれぞれのスピーカーに送ってあげることで、より濁りの無い音を出力することが出来ます。

PAシステムの進化に終わりはない!!

代表的なPAシステムをご紹介させていただきましたが、実はこれ以外にも様々なPAシステムというのは存在します。

最近では、よりエンターテイメント要素を求めたPAシステムが使われるようになってきています。

d&b audiotechnik社が提案する「Soundscape」というスピーカーシステムはとてもエキサイティングなサラウンド環境を提供してくれるPAシステムです。

実際にショールームで音を聴きましたが、その迫力・表現力には脱帽でした(笑)

このように、PAシステムはどんどん進化していくことでしょう。

まとめ

PAシステムは、様々な機器の集合体であるということはご理解いただけたかと思います。

ここから分かることは、PAシステムの良し悪しを決める上で「どの機器を選定するか?」というのはとても重要だということです。

PA機器に関する知識をしっかりと持ち、それらを適切に組み合わせる能力というのがPAエンジニアには求められます。

PA INFORMATION for BeginnerではPA機器に関する知識を惜しみなく提供しておりますので、思う存分学んでいただき、良い音を出せるようになっていただければと思います!