
ラインアレイスピーカーとは?
ラインアレイスピーカーは、複数のスピーカーを連結させて構成したスピーカーシステムのことを指します。
天井から吊り下げて使用する場合が多いため、フライングスピーカーと呼ばれたりもします。
現代において、アリーナ以上の規模でライブをする際にはほぼ間違いなく「ラインアレイスピーカー」が使用されています。
それでは、なぜ大規模の会場ではラインアレイスピーカーが使用されるのでしょうか?
ラインアレイスピーカーの特徴
ラインアレイスピーカーには以下のような特徴があります。
- 距離による音の減衰が小さい。
- 天井や壁からの反射が少なく、明瞭な拡声が可能。
- 点音源に比べ小さな音で遠方に届くため、ハウリングを起こしにくい。
- スピーカーの垂直方向への音の広がりが抑えられているため、狙ったエリアに明瞭に音を届けることができる。
以上のような特徴があります。
簡単に言ってしまうと、「効率良く狙ったエリアに明瞭な音を届けることが出来る」というのがラインアレイスピーカーの特徴です。
点音源と線音源
ラインアレイスピーカーを知るためには、まず「点音源」と「線音源」の違いを知る必要があります。
点音源というのは、下図のような一般的なスピーカーのことを指します。
点音源(ポイントソース)で音を放出するため、このタイプのスピーカーをポイントソーススピーカーと呼んだりもします。
逆にラインアレイスピーカーは、線音源(ラインソース)で音を放出するためこのようなネーミングになっています。
それでは、具体的な「点音源」と「線音源」の違いをご説明します。
上図はスピーカーを横から見た図です。
左側が一般的なスピーカーであるポイントソーススピーカーです。
ここから出る音は、水平、垂直の両方向に対して球面状に広がります。
一方、右側のラインアレイスピーカーは、1つのスピーカーユニットから出た音は水平方向には広がりますが、垂直方向には広がらず、直線的に音が飛びます。
それゆえに、カバーエリアの調整が容易なのです。
多くの場合は、ラインアレイスピーカーはグニャッと曲がった状態で設置されています。
このようにすることで、カバーエリアの設定をすることが出来るのです。
下図のように、スピーカー設置角度をつけることで、音が飛ぶ方向を変えるのです。
アリーナなどにおいては、遠距離用のスピーカーでスタンド席上段を狙い、中距離用でスタンド下段~アリーナ後方を狙います。
そして、近距離用でアリーナ前方を狙うといったようなセッティングでスピーカーを鳴らします。
すると、会場全体に均一な音場を提供できるのです。
ラインアレイスピーカーの設置パターン
ラインアレイスピーカーは基本的にはフライングで使用しますが、場合によっては、床置き(グランドスタック)で使用する場合もあります。
また、最近では、小型のラインアレイスピーカーも発売されていて、スピーカースタンドに取り付けられるタイプもあります。
ラインアレイスピーカーは、今やPAには欠かせないスピーカーとなっております。
小型、軽量、低価格化が進んでいることもあり、アマチュアPAでも使われるケースは少なくありません。
ラインアレイスピーカーの今後の発展に期待ですね。