用途別PAシステム『学園祭編』

今までPAに関わったことがない方にとっては、PA機器選びははよくわからないものですよね。
そんな方のために、少しでもお役に立てればとこの記事を書いております。
今回は、学園祭に使用するPAシステムについてご提案させていただきます。

システム構築のポイント

こちらの記事でご紹介するPAシステムは、あくまで学生が自分たちでセッティングして行う場合を想定しています。
PA業者が入ってPAシステムの設営・オペレートを行う場合は、基本はすべてお任せしましょう。
学園祭でPAを使用するシチュエーションというのは、バンド演奏かダンス、演劇といったところでしょうか?
その中でも一番システムが複雑なバンドに対応できるPAシステムをご提案いたします。
大は小を兼ねるではないですが、バンドで使えるPAシステムであれば、ダンスでも演劇でも使えると思いますので。

PAシステムの要件としては、以下のような感じでしょうか。

  • システムの出力はある程度欲しい(500W程度)
  • マイクの本数はある程度必要なため、ミキサーのチャンネル数は16ch以上
  • 導入コストは、上限が厳しいと思われるのであまりハイスペック品は選べない

以上のような条件でPAシステムを提案させていただきます。

PAシステム提案1(スタンダードセッティング)

バンドスタイルをカバーするスタンダードなPAシステムです。
メインスピーカーに加え、モニタースピーカーを4系統備えたPAシステムです。

システム構成例

メインスピーカーにフルレンジスピーカー1対向(2台)使用し、ボーカル、ドラム、サイドフィル用に4台のモニタースピーカーを設置したPAシステムです。
バンド演奏をする際には、最悪はサイドフィルだけでもよいのですが、ボーカルとドラムはモニタースピーカーを設置してあげることで、より良い演奏環境を作ることができます。

それでは、具体的にどのような機材を選んでいけば良いでしょうか?

ミキシングコンソール

ミキシングコンソールについては、16chでも良いのですが、余裕を持って24chのものを選択することをお勧めいたします。
2019年2月時点でおすすめできる24chのミキシングコンソールはこちらです。

マイクの入力は16本まで対応可能で、その他4系統のステレオライン入力と4系統のAUX出力(モニター出力)が可能です。それに加えて2系統のエフェクトが使用できるというアナログミキシングコンソールです。
YAMAHA MGシリーズは、PA初心者にも扱いやすく、最新モデルでは音質も向上しており、より使えるミキサーに進化しています。
YAMAHA MGシリーズについては、こちらの記事でもう少し詳しいことを書いていますので、よろしければご覧ください。

スピーカー(メイン&モニター)

スピーカーについては、ある程度の出力に耐えられるモデルが良いと思います。
今回提案させていただくのは、Electro VoiceのELX115というスピーカーです。
こちらは、かなりコストパフォーマンスが高い商品になっています。
私も小〜中規模の現場では使用しているスピーカーです。
こちらを2台使用する感じです。
スピーカースタンドも忘れずに。

モニタースピーカーには、ELX115でも良いですが、一回り小さなELX112というモデルもありますので、こちらを使用すると良いと思います。

ELX115もそうですが、上の写真のようにフロアモニターとしても使用することができるので、とても便利です。

パワーアンプ

パワーアンプは、スピーカーの許容入力値以内のものを選びましょう。
あまり出力の大きなパワーアンプを選ぶと、スピーカーの破損の原因になりますのでご注意ください。
今回ご提案するのは、スピーカーと同じElectro VoiceのQ99というパワーアンプです。

400E(8Ω)の出力を持つパワーアンプなので、ELX115との相性も良いでしょう。

グラフィックイコライザー

グラフィックイコラーザーは、最悪無しでもとりあえず音は出ますが、音質補正が出来なくなってしまうのでシステムに組み込むことをおすすめします。

グラフィックイコラーザーの使い方については、こちらの記事をご覧ください。

今回提案するグラフィックイコライザーとしては、dbxの1231というモデルです。
31バンドのグラフィックイコライザーで、フェーダーは41mm仕様となっています。
15バンド仕様のグラフィックイコライザーも存在しますが、より細かな調整を行うためにも31バンド仕様をおすすめします。
また、フェーダー長についても20mm仕様のものもありますが、よりシビアな調整ができるのは41mm仕様のグラフィックイコラーザーなので、フェーダーは41mm仕様をおすすめします。



マイク

マイクについては、SHURE SM58とSM57のみで乗り切るという方法もありますが、より良い音(特にドラム)を目指すのであれば、バスドラム、タム、シンバルには専用のマイクを使用したいところです。
バスドラム用のおすすめマイクはSHURE BETA52Aです。
迫力のある低音が収音できます。

タム用には、AUDIXのD-2がおすすめです。
フロアタムだけは、D-2よりも低音を得意としたD-4で収音できるようにすると更に良いかもしれません。

シンバル類はSM57で対応するというのもありですが、より金物の感じを収音するためには、コンデンサーマイクを使用するのがベストです。
おすすめのコンデンサーマイクは、AKGのC451Bです。

このマイクをオーバーヘッドに2本設置すれば、シンバル系は十分でしょう。
もし、予算やチャンネル数に余裕がある場合は、ハイハットにも1本追加してあげると更に良いでしょう。
ちなみに、コンデンサーマイクを使用する際には、ファンタム電源が必要です。
今回提案させていただいたミキサーのMGP24Xには、ファンタム電源を供給する機能が付いていますので、問題はありません。
もし異なるミキサーをご使用になる場合は、ファンタム電源が使えるかどうかの確認は必須です。

その他、ボーカルやギターなどの収音には、それぞれSHURE SM58やSM57を使用するのがベターでしょう。

PAシステム提案2(より迫力を求めたい場合)

より迫力のある音を目指したいのであれば、「提案1」のPAシステムに対して少し機材を追加することで対応できます。
ここでいう迫力というのは、低音再生能力の強化です。
簡単に言えば、もっと低音を鳴らすことができるPAシステムにしましょう!ということです。

システム構成例

先ほどのPAシステムに対して、低音を鳴らすためのスピーカー「サブウーファー」を追加していきます。
ただし、ただ単純にサブウーファーだけ追加してもダメですので、それに伴って必要となる機材も含めてご説明いたします。

スピーカー(サブウーファー)

ELX115の低音域を補強するためにサブウーファーを追加します。
おすすめは、同様のシーリズのサブウーファーELX118です。

こちらが2台必要になります。

パワーアンプ

サブウーファーの追加に伴い、サブウーファーを鳴らすためのパワーアンプも追加する必要があります。
基本的には、メインスピーカーを鳴らしているQ99で問題ないと思います。

チャンネルディバイダー

サブウーファーの追加に伴って必要な機材がもう1つあります。
それはチャンネルディバイダーです。
簡単に言ってしまうと、チャンネルディバイダーというのは、ミキサーから出力された音の信号をサブウーファーが再生するのが得意な低音成分とそれ以外の成分(メインスピーカー分)に分けるという役割を果たします。
チャンネルディバーダーについて、詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

チャンネルディバイダーは、アナログのモデルとデジタルのモデルがあるのですが、これからを考えるとさっさとデジタルのチャンネルディバイダー(デジタルオーディオプロセッサー)を導入した方が良いと考えています。
そこでおすすめするのがdox driverack PA2です。

DriveRack PA2は、本来のチャンネルディバイダーの機能に加えて、イコライザーやコンプレッサーなどの機能も備えているため、PAシステムを構築する上では非常に重宝する機材です。

まとめ

今回は、学園祭のためのPAシステムを提案させていただきました。
今回提案させていただいたのは、あくまで一例ですので、自分で色々とアレンジしながら導入する機材を選択していってください。