バランスケーブルとアンバランスケーブルの違い



ギターなどの楽器を少しでも触ったことがある方はバランスケーブルアンバランスケーブルという単語を聞いたことがあるのではないかと思います。
ただし、この意味を理解できていない方が多いと感じたのでこのページを作成しました。

その前に、「なぜケーブルを通して音が伝わるのか?」と真剣に考えたことがある方は少ないと思います。
ギタリストであれば、「ギターにシールド(ケーブル)を刺し、もう一方をアンプに刺せば音が出る」というあまりにも当たり前すぎることなので気にしたことがない方も多いはずです。

音は、空気の振動です。エレキギターを弾くと弦が振動します。
この振動が空気中に伝わり、「音」となって耳に届くわけです。
ただし、ライブ会場でエレキギターの生音でライブをしている人はいませんよね?
全員が当たり前のようにケーブルを使ってアンプとギターを繋ぎます。
ここでどういうことが行われているかというと「弦の振動による音を電気信号に変換します。
その信号をケーブルを介してアンプに送り、アンプでその電気信号を増幅してスピーカーから音として出力する」という形になります。
この変換装置は、ギターでいえば「ピックアップ」です。
PAでいえば「マイク」になります。

【ギターのピックアップのしくみ】
ギターのピックアップの中には「磁石とコイル(電線を巻いたもの)」が入っています。
弦が振動すると、その振動にあわせてコイルに電気が流れます。
これが電気信号に変換するしくみです。
コイルに電気が流れる原理は電磁気学で説明することが出来ますがここでは省略します。

Schema_kytary

【ダイナミックマイクのしくみ】
ダイナミックマイクの中にも磁石とコイルが入っています。 ギターのピックアップと異なるのは弦のようなコイルに電流を流せるものが無いということです。
そこで、マイクの場合は振動版が必要になるわけです。
この振動板が振動することでコイルに電流を発生させ電気信号に変換している訳です。

dinamicmic

楽器等で使用するケーブルは、この電気信号を伝えるために使用されるのです。
その伝える方式に「バランス方式」「アンバランス方式」という2つの方式があるのです。
この違いを一言で言うと「バランス接続の方がアンバランス接続よりもノイズに強い」ということです。
それでは、バランス接続とアンバランス接続の違いをまとめると以下のようになります。



バランス方式 アンバランス方式
ノイズ耐性 強い 弱い
使用する電線数(端子数) 3本(ホット、コールド、グランド) 2本(ホット、グランド)
コスト 高い 安い
代表的なケーブル XLRケーブル(マイクケーブル)
TRSフォンケーブル
ギターなどのシールドケーブル
RCAケーブル
ヘッドフォンケーブル

それでは、なぜバランス方式がノイズに強いのかという部分の説明をいたします。
バランス方式の場合は3本の電線が存在します。
バランス方式にあり、アンバランス方式に無いのが「コールド」の線ですね。
この「コールド」がバランス方式のポイントです。
以下の図をご覧ください。

bal

入力信号は、ホットとコールドそれぞれに逆位相で入ります。
あるポイントでホット、コールドに同じようにノイズが乗ります。
最後にこのホット、コールドの信号をミックスして出力するのですが、そのままミックスしてしまうとお互い逆位相の関係なので音が打ち消しあってしまいます。
そこでコールドの信号を位相反転装置で反転させてあげます。
するとコールドのノイズも反転されます。
この状態でホット、コールドのミックスを行うと、伝えたい信号は2倍になり、不要なノイズは相殺されます。
これがバランスケーブルがノイズに強い理由です。

一方、アンバランスケーブルはコールドの信号線がないため、バランスケーブルのようなノイズを相殺するようなことは出来ません。
従って、バランスケーブルよりもノイズに弱いということになります。
「ノイズに強いのであれば、全ての楽器にバランスケーブルを使用すれば良いのでは?」という疑問が浮かぶと思います。
しかし、ケーブルだけバランスケーブルにしても楽器側がバランス出力を出せなければ意味がありません。
現実的にギターやベースなどは全てといって良いほどアンバランス方式の出力端子を持っています。
しかし、PAなどのように2,30mの長いケーブルを引き回すような場合はバランスケーブルが基本となります。