
音が聞こえるしくみ
世の中にある「音」は人間が感じるものです。
それが原因で音というものが非常に難しいものになっているとも言えます。
簡単に言うと、同じ音楽を聴いていても人によって「音の感じ方が違う」のです。
ギタリストのA君とドラマーのB君が、あるバンドのCDを聞いていた場合、ギタリストのA君はギターの音が大きく聞こえるでしょう。
一方、ドラマーのB君はきっとドラムの音が大きく聞こえるでしょう。
同じ音楽を聴いているのにも関わらず、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
それは、音が発生してから人間が感じるまでの過程を知ることで理解することが出来ます。
人間が音を感じるまでの3ステップ
物理レベルでの音
上の例でいうと、スピーカーから音楽が流れるというのが物理レベルでの音ということになります。
物理レベルでの音は空気の振動であり、その性質は、周波数(Hz)、音圧レベル(dB)といった単位で客観的に表現できるものです。
生理レベルでの音
スピーカーから出た音は、人間の耳に入り鼓膜を振動させます。
この振動を人間の耳の複雑かつ巧みな構造によって神経信号に変換します。
つまり、耳は物理レベルでの音を神経信号に変換し、脳に送るための変換機の役割を担っていることが分かります。
心理的レベルでの音
神経信号として伝わってきた音を脳が受け取ります。
脳の中では高度な情報処理が行われて「音」として認識をするのですが、その内容については未だに解明されていない部分が多々あります。
いずれにしても、このような過程を経て単なる振動であった音が人間にとって意味のある「音」として認識されます。
A君とB君の話に戻ると、同じ音楽を聴きながら聞こえ方が異なったのは「脳での情報処理方法の違い」が原因です。
自分が得意な楽器が大きく聞こえているというのは「カラーバス効果」という心理学の理論で説明が出来ます。
カラーバス効果とは、「自分が赤い車に買い替えた瞬間に街中に赤い車が増えたように感じます。
しかし赤い車の売上が急増しているわけではありません。」というような話から分かるように、自分が意識したものが目立って見えるという理論です。
このように人間が感じる「音」というものは心理的な要素も多く含んでおり、まだまだ謎が多い領域であるということが分かります。