良いライブのためのリハーサルのやり方



リハーサルのやり方についてご説明します。まず、リハーサルは何のためにやるのかを認識しなければなりません。

リハーサルの目的 = 本番の演奏環境をつくること

これに尽きます。

よく初心者バンドでありがちなのが、リハーサルで練習を始めるバンドです。

これはリハーサルの目的を理解していない典型例です。

練習は当日までに終わらせておいて、当日は本番の音を決める作業に徹するのが本来のリハーサルの目的です。

それでは、具体的にはどのようにリハーサルを進めていけば良いかをご説明いたします。

  1. 各パートのサウンドチェック
  2. 外音(客席に出ている音)を決める
  3. 中音(モニタースピーカーから出ている音)を決める
  4. リハーサルの設定を記録する

という順番でリハーサルを実施していきます。

とその前に、リハーサルをする際にはPA席から指示を出すため、ステージのモニターに自分の声が届けられるようなチャンネルを作っておくことをお勧めします。

ある程度のグレードのミキサーになれば「トークバック」という機能が付いていて、通常のチャンネルとは別にPAオペレーターがステージに指示を出すための専用チャンネルが用意されていたりします。

そのような端子が無ければ、通常のチャンルを1つ使用して、メインスピーカーへの出力を0にし、モニターへの出力のみ上げればトークバックと同じことができます。

ただし、AUXチャンネルへの送り方には2種類(PreとPost)あリます。

Preとはそのチャンネルのフェーダーの前の信号をAUX(モニター)のチャンネルに送るという方式、一方Postはフェーダーの後の信号をAUXに送る方式です。

今回の場合は「Pre」にしておくのが正解です。

フェーダーは下がっているため、Post方式だといくらAUXのツマミを上げても音は送られません。

それでは、リハーサルの中で具体的にどんなことをやっていけば良いかを説明していきます。

各パートのサウンドチェック

全体の音を合わせる前にまずは個別のパートをチェックしていきます。

私の場合は基本的には以下の順番で各パートのサウンドチェックを行います。

ドラム → ベース → ギター → キーボード → ボーカル&コーラス

ドラムのサウンドチェック方法

ドラムは一番マイクを使用する本数が多い楽器です。

私の場合は、10本前後のマイクを使用して集音します。

ただし、マイクの本数は多ければ良いというわけではありません。

逆に多いとミックスの難易度は上がります。

それぞれのマイクでで「どんな音を集音したいか」をイメージしてマイクを立てるようにしましょう。

そうしないと音作りの際にどういう音にしたら良いのか困ることになります。

私もPAを始めたての頃は見よう見まねでたくさんマイクを立てていましたが、それぞれのマイクで集音する音をイメージできていなかったように思えます。

では実際の作業をバスドラムを例にご説明していきます。

音量調整 → 音質調整 → 音圧調整 → エフェクト調整

という順番で音を作っていきます。

まずは音量調整ですが、ミキサーのゲインが「0」になっているのを確認した上で、フェーダーを「0dB」のところに合わせます。

0dBというのは増幅も減衰もさせていないということ、つまり一番音が自然な状態(=良い)ということです。

この状態で外音が適度な音量(会場によって異なるためこのような表現にしています)になるように上げていきます。

この作業はすべてのマイク/ラインに共通する作業ですので覚えておいてください。

また、この作業は専門用語で「頭を取る」と言われたりします。

次に音質調整です。イコライザーを使用して音質を調整していきます。

私の場合は、バスドラムに2本マイクを立てています。

一つはバスドラムのフロントヘッドに空けてある穴にマイクを突っ込んで「アタック音」を集音します。

もう一本はフロントヘッドの左上あたりにセットし「胴鳴り」を集音します。

このようにコンセプトが決まっていれば音作りは簡単です。

1本目は低音をカットし、アタック音を強調するために中高域を少しブーストします。

2本目は高域をカットし、150Hzあたりをブーストするとうまくいくことが多いです。

これはバスドラムの大きさやチューニングによって変わってきますのであくまで参考です。
次は音圧調整です。

コンプレッサーを使って音圧を調整していきます。

コンプレッサーの使い方は少し難しいため、ここで説明するのはやめておきます。

簡単に言うと音を潰して(圧縮して)密度を高めることによって音圧を上げるというのがコンプレッサーの役割です。

最後にエフェクト調整です。

PAで使用するエフェクトは、通常は「リバーブ」「ディレイ」が主なものとなります。

バスドラムにはリバーブをかけると音の抜けが良くなりますので、そのかけ具合を調整していきます。
以上がバスドラムのサウンドチェックです。

基本的にはこれとは同じ作業を、スネア、タム、シンバル類に対しても行っていきます。

当然、イコライザーでのブーストポイントやコンプレッサーの要否、リバーブのかけ具合などはそれぞれ異なってきますが、このページではそこまでは触れないことにします。

ドラムはドラム全体として音のバランスが良くなければいけないので、最後にドラム全体を使って適当なフレーズを叩いてもらいましょう。

これでバランスが取れればOKです。

ベースのサウンドチェック方法

ベースは基本的にはラインの音を使用します。

基本的な調整方法はドラムのパートで説明した通りです。

ただし、ベースの場合は弾き方によってミキサーに入ってくる音量が変わることがあります。

例えば、指で弾く奏法とスラップ(弦を叩く)奏法を1曲の中で使い分ける場合は、スラップの方が大きい音量になります。

これに対応するためには、リハーサルでスラップ奏法もやってもらうことが重要です。

私の場合は、ベーシストの方には必ず「スラップ奏法とかはされますか?」と聞きます。

スラップ奏法時と指弾き時の音量の差を埋めるのにコンプレサーを使用したりします。

コンプレッサーのマイルドな使用方法としては、音のレベルを揃えるという使い方もできます。

スラップ奏法をした時のみコンプレッサーが作動するような設定をするわけですね。

ベースでエフェクターを使用した音色がある場合はそれもやってもらいましょう。

この際にエフェクターをオンにした瞬間に音量が不自然なくらい上がってしまう、逆に下がってしまうと言う場合は、音量の補正をベーシストの方にお願いしましょう。

ギターのサウンドチェック方法

サウンドチェック方法は基本的にはベースと同様です。

ギターの場合はベースよりもエフェクターを多用する傾向にありますので、すべての音色の音量レベル合わせを実施していきます。

耳障りな音が含まれている場合は、イコライザーを使用してカットしてあげると良いでしょう。

キーボードのサウンドチェック方法

キーボードもサウンドチェック方法は基本的には他の楽器と同様です。

キーボードも音色が多い場合がありますので、全音色を弾いてもらい、音量レベルの調整をしましょう。

稀にキーボードで効果音を出す場合がありますが、これは音量が大きい場合が多いです。

このような音もリハーサルでチェックしておいた方が良いです。

昔の話ですが、本番中にリハーサルで出していない効果音を大音量で鳴らされてスピーカーが飛んだことがあります。

リハーサルで手を抜くと結果的に自分に返ってきますので、ぜひきっちりとやりたいものですね。

ボーカル&コーラスのサウンドチェック方法

ボーカル、コーラスマイクもサウンドチェック方法は基本的には他の楽器と同様です。

ただし、ボーカルマイクについては、リバーブを多用する場合が多いのでリバーブのかかり具合はしっかりチェックしておきましょう。

また、シャウトなどがある場合には、コンプレッサーを使用することもあります。

外音(客席に出ている音)を決める

各パートのチェックが終了したら、いよいよ全体での音出しです。

どの楽器もしっかりと聴こえるようにバランスを調整していきます。

全体で合わせてみると「なんだかバスドラムが聞こえにくいな」とか「ベースが聴こえにくいな」などといったことがあります。

これの解決策としては、2つあります。1つは「音量で調整する」、2つ目は「音質で調整する」という方法です。

理想は「音質で調整する」という方法で問題を解決するのがスマートです。

この理由は、聞こえにくくなる理由のほとんどが、音が干渉していることにあるからです。

オペレートの経験を積んでいくと、「あっ、バスドラとベースの低音が干渉しているな。

低音域はベースに任せて、バスドラムは低域を削り、中高音域を上げてアタック音を強調することで埋もれないようにしよう」という対処ができるようになります。

一方、音量だけで調整する場合はどのようなことが起こるかというと「バスドラムが聞こえないからバスドラムの音量を上げよう」こうするとバスドラムでハウリングが起こりやすくなり、全体の音が台無しになってしまいます。

だからこそ、理想は「音質でなんとかする」という方法なのです。

中音(モニタースピーカーから出ている音)を決める

出演者への注意事項の説明のページでも書きましたが、モニターからはできるだけ音を出さない方が良いのです。

これを踏まえた上で、私は初期設定として、「ボーカル、自分のパート、自分の声」のみをモニターに返す設定にしています。

リハーサルが始まる際に、「各モニターにはボーカル、自分のパート、自分の声にのみを返していますので、他に要望があればよろしくお願いします」と伝えるようにしています。

そして実際に演奏してもらった結果、修正を入れていきます。

モニター調整の際によくあるトラブルは「全部の音ください」というパターンです。

例えば、ロックバンドでボーカルが「ボーカルモニターに全部の音ください」と要望したとします。
すると、ボーカルの声と干渉しやすい歪んだギターの音もボーカルのモニターに返ることになります。
すると「ボーカルの返しをもっとください」となるわけです。

これがあるところまでいくとハウリングするようになってしまいます。

これでは、歌いやすいどころではありません。

では、どう対処するのが正解だったのでしょうか?正解は「ギターの返しを下げる」です。

モニター調整の際には「ボーカルの音を上げてください」という要望に対して、素直に上げてしまうのではなく「きっとギターと干渉して聞こえにくくなっているはずだ」という推測ができれば、ギターの音を下げるという対策が出てきます。

モニターの調整の際は、出演者の要望の真意を捉えて適切な対処をすることが重要です。

リハーサルの設定を記録する

せっかく行なったリハーサルの設定も本番で変わってしまっては意味がありません。

そこで、リハーサル時のミキサーのパラメーター設定を記録しておく必要があります。

アナログミキサーの場合は、紙に書いて記録するというのが一般的です。

最近では、iPhoneのカメラでミキサーを撮影して記録しているオペレータさんもいたりします。

正解は無いので、経験を積む中で自分にとって良い方法を見つけていってください。

デジタルミキサーの場合には、この部分はものすごく楽です。

なぜなら、その設定をミキサー本体に記録することができ、自由にその設定を呼び出せるからです。

私は最近使用するのは、ほぼデジタルミキサーなので、非常に楽をさせていただいております。

まとめ

良い本番環境を作るためには、リハーサルというのは非常に重要な工程です。

今回の記事の内容をしっかりと実践していただき、かつ目的を見失わないようにリハーサルを実施することが良いライブ、良いイベントになる秘訣でもありますので頑張りましょう!!

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