モニターが外音を濁らせる?

ライブにおいて、モニタースピーカーは必需品です。小さな会場であれば楽器の生音が聞こえますが、大きな会場になると他のパートの音が聞こえなくなるため、モニタースピーカーが必要になってくる訳です。
実は、モニタースピーカーから出す音の設定はミュージシャンによって様々です。
その設定ですが、大きく分けて3つのパターンがあります。

パターン1「全ての音が欲しい」

これは、演奏者自身のテンションを上げるためのモニター設定です。
場合にっては爆音にしてくれという方もいます。

パターン2「必要な音だけ欲しい」

これが一番多いパターンだと思います。
私も特別な注文が無い限りはこのパターンでモニターの調整をしていきます。

パターン3「モニター音は必要ない」

これでしっかりと演奏できるのは上級者です。
バンドの各パートの音のバランスが良くないと成り立たないし、このあたりのレベルになると他のメンバーの音が例え聞こえなくても感じることが出来るのかもしれません。

PAの立場から言うと、この3つのパターンの中で「パターン3」が理想です。
それはなぜかと言うと、お客様に届く音が一番良いからです。
なぜモニターから音を出さないとお客様に届く音が良くなるのか? ここからがこのページの本題です。
ライブ会場に存在する音というのは、大きく分けると外音(メインスピーカーから出る音)と中音(モニタースピーカーから出る音)があります。
このページのタイトルでもある「モニターが音を濁らせる?」というのは、「モニターから音を出すことによって、お客様に届ける外音が濁る」ということを言っています。
それでは、なぜモニターから音を出すことで外音が濁るのでしょうか?
これを説明するためには、「位相」という概念を理解していただく必要があります。
音というのは空気の振動、つまり、空気の波なのです。波には波形があります。
この波形が以下の図のようにずれることを「位相がずれる」といいます。



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音響においての「位相ずがれる」ということは、間単に言うと「音が遅れる」ということです。
メインスピーカーから出た音を基準とします。
その時にモニターから同じ音を出すとどうなるでしょうか?
モニターから出た音は演奏者の方を向いてるため、基本的には客席とは逆の方向に飛びます。
そして、ステージ後ろの壁や天井にぶつかりながら反射し、客席に届きます。
つまり、モニターから出た音が客席に届くまでの時間分、基準の音に対して遅れる(位相がずれる)のです。
例えばスネアの「タンッ!」というタイトな音をPAシステムから出す場合、外音だけ出している場合は客席には「タンッ!」というタイトな音が届けられます。
ここでモニタースピーカーからもスネアの音を出してみましょう。
するとどういうことが起こるでしょう?
極端に言うと「タンッ!」というようになります。
実際、音速というのは約340m/sなので、音の遅れとしては0.04秒くらいです。
このように遅れた音が混ざった合成音を人は「濁った音」と判断するのです。
音が濁る原因は、モニタースピーカーから出た音が反射し、遅れて客席に届くことなのです。
このことから、モニターから音を出さなければそもそもこの問題は発生しません。
だから、「パターン3」がPA的には理想なのです。