
【わかりやすく解説】ハウリングが起こる原因とその対策
「ハウリングって何?なぜ起こるの?」こんな疑問を持ってこのページにたどり着いた方が多いと思います。こちらのページでは「ハウリング」についてとてもわかりやすく解説させていただきます。ハウリングをしっかりと理解していただき、より良い音を楽しみましょう!
目次
ハウリングとは?
まずは「ハウリング」って一体何なんだ?というところから解説していきたいと思います。
「ハウリング」の語源は?
そもそも「ハウリング」という言葉は何語なのでしょうか?答えは英語です!「Howling」というスペルなのですが、「ほえる、わめく」といったような意味だそうです。
確かに、ライブ会場でハウリングが起こった時は大きな動物がほえているかのような音が会場に響き渡りますよね。
ハウリングってどんな現象?
ハウリングというのは、マイクとスピーカーが使われるようなスピーカーシステムでマイクを使用する際に、音量を上げていくと
「ボーーーーーー」
「ピーーーーー」
といったような音が発生してしまう状態のことを言います。これは、スピーカーシステムの規模に関わらず発生するのですが、規模が大きければ大きいほど、ハウリング音も大きくなります。
ひどい場合は、ハウリングによってスピーカーが破損するといった事故にもつながるため、とても注意が必要な現象なのです。
ハウリングによる影響・問題点
ハウリングが起こってしまうと、イベントの進行がストップしてしまうだけでなく、出演するアーティストや演者さんのモチベーションも下げてしまうものです。また、機材の観点でもハウリングが原因でスピーカーが壊れてしまったりすることも考えられます。
もしそうなってしまったら、イベントの存続に影響を及ぼしてしまうな可能性もゼロではありません!ぜひ注意してハウリングが発生しないようにしたいですよね。
それでは、ハウリングが発生しないようにするにはどうしたら良いのかが気になりますよね。その前に「なぜハウリングが発生するのか?」について解説しておきましょう。
ハウリングの発生原因
ハウリングというのは「音がループしてしまう」ことで発生します。その発生の仕組みはこちらの図をご覧ください。

こちらの図のように、スピーカーシステムは「マイク」→「ミキサー」→「パワーアンプ」→「スピーカー」という順番で信号が流れていき、最終的にお客さんの耳に音を届ける仕組みになっているのですが、ハウリングが発生する状況というのは、スピーカーから出た音を再びマイクが拾ってしまうことで起こります。そうなると、スピーカーから出た増幅されて更に大きな音となってスピーカーから出力されます。その音をマイクが拾い、更に大きな音にしてスピーカーから出力する・・・このようにして「音のループ」によってハウリングは発生するのですね!
ハウリングの解決/抑制方法
ハウリング問題を解決するためには、以下のような4つの対策が有効だとされています。通常は、どれか1つだけ実施すれば良いというわけではなく、組み合わせて実行するパターンがほとんどです。
それでは、順番に解説していきましょう!
機材の設置レイアウトを見直す
まず1番ベーシックな解決方法がこちらの方法です。ハウリング対策で最も重要なのが「マイクとスピーカーの位置」です。この2つの機材の位置関係が近ければ近いほど、ハウリングは発生しやすくなってしまいます。ですので、マイクを使う場所はできるだけスピーカーから離すようにしましょう。
また、スピーカーの向きや高さなどもかなり重要です。スピーカーの方向にマイクができる限り向かないようにするようなレイアウトを考えないとハウリングに悩まされることになってしまいます。
使用するマイクの数、種類を変える
マイクの本数が多ければ多いほど、スピーカーからの音を拾ってしまう可能性が高くなります。とは言っても必要なマイク数を準備しなければならないという事情も分かります。そこで重要なのが、「使わなマイクはオフ(ミュート)」にしておくということです。
また、マイクの種類を工夫するという方法もあります。マイクの種類は大きく分けるとダイナミックマイクとコンデンサーマイクに分かれますが、イベントで使われるマイクはほとんどがダイナミックマイクです。イベントで使われるダイナミックマイク(代表的なマイクはSHURE SM58)は、マイクの正面の音だけを拾えるような工夫がされていますので、スピーカーからの音を拾いにくくなっている、つまりハウリングしにくくなっているとと言うこともできるかもしれませんね。
このように、使用するマイクの本数や種類を工夫することでもハウリング対策は可能です。
イコライザーを使用する
ハウリング対策も少しマニアックな領域に入っていきます(笑)続いての対策は「イコライザー」を使用するという方法です。イコライザーというのは、音響機器のひとつで、ある特定の高さの音の音量を下げることができるというものです。ハウリングが発生する時には、ある特定の周波数で起こります。
その際にイコライザーというものを使ってその特定の周波数の音の音量のみを下げてあげれば良いのですね。
そうすることで、それ以外の高さの音には影響を与えることなくハウリング対策ができます。
スピーカーシステムのハウリング対策として使われるのが「グラフィックイコライザー」という機材です。

初心者の方には「こんな機材扱えないよ〜」と言われてしまいそうなビジュアルの機材ですが、仕組みはとてもシンプルです。周波数帯域ごとに分かれたフェーダー(上下に動くスライダーのようなもの)を上下に動かすことで音量の上げ下げを行うことができます。つまり、ハウリングが起こっている周波数帯のフェーダーをハウリングがおさまる程度に下げることでハウリングを除去することができます。
フィードバックディフューザーを使用する
最後にご紹介するのが「フィードバックディフューザー」という機材を使う方法です。フィードバックサプレッサーなどとも呼ばれたりすることもありますね。
これはどんな機材かというと、先ほど説明したグラフィックイコライザーを使って行うハウリング対策を自動でやってくれる機材です!なんて素晴らしいのでしょうか。初心者の方には、ハウリングしている周波数がそもそも分からないという根本的な悩みがあると思います(笑)
それを簡単に解決してくれるのがフィードバックサプレッサーという機材なんですね。

間違った解決法
ハウリング対策は、今回紹介したどれかひとつだけを実施すれば良いというものではありません。よくありがちなのが、ハウリング対策として「ハウリングしにくいマイクを買いました〜♪」みたいな方がいらっしゃいます。でも、これは根本的なハウリング対策にはなっていません。
スピーカーの位置や角度、マイクの本数など、他にも気にしなければならいことはたくさんあります。ハウリング対策をする上とても重要なことは「なぜハウリングが発生するのか?」をしっかり理解した上で適切な対策をしていくことが重要です。「この機材を使えば解決です!」というものはないので、総合的に対策していくのが良いかと思います。
まとめ
ハウリングというのは、イベントを実施する上ではとても邪魔な存在です。ハウリングが起こることによって、イベントの進行に影響を与えてしまうだけでなく、お客さんやアーティストさんのモチベーションを下げることもあります。
ハウリングが発生する仕組みをしっかりと理解して、適切な対策をしていきましょう。