ベースのしくみ

ベースは正式名称で言うと「ベースギター」というように形やしくみはエレクトリックギターに似ています。

それでは、エレキギターと何が違うのでしょうか?

答えは、出す音域が違うのです。

ベースは低音楽器であり、ドラムと同様にバンド全体のリズムを担う楽器であるということで「リズム隊」と呼ばれたりもします。

冒頭でも書いたように、しくみはエレクトリックギターとほぼ一緒です。
(エレクトリックギターのしくみについては、以下の記事をご覧ください)

ベース用のピックアップについても、「シングルコイルピックアップ」と「ハムバッキングピックアップ」があり、演奏スタイルによってピックアップの選択をしていきます。

ただし、ベースについては、3種類のピックアップタイプに分類されて呼ばれることが多いです。

それぞれ解説していきます。

ジャズベースタイプピックアップ

通称ジャズベタイプピックアップと呼ばれているピックアップです。

1960年頃Fender社が開発・販売したジャズベースのために作られたピックアップのためジャズベースタイプと呼ばれています。

今ではジャズベースのみならず、他のモデルや他社のオリジナルベースなどにも広く使われており、ベースのピックアップの中でも最も多く使われるピックアップです。

ジャズベースタイプのピックアップを搭載する場合、対になるようにフロントとリアの二つ載せるのが基本です。
細長いバータイプの本体に計8個のポールピースが一列に配されています。

弦の数に対してポールピースが多いのは、ベースは弦を弾いた際の弦の振れ幅がエレキギターよりも大きく、一つのポールピースでは弦の揺れによって弦の距離が遠くなってしまい振動を拾いきれず、音量が小さくなる問題があるため。

その問題の解決策として、一本の弦に対して2つのポールピースを対応させ、真上から見て弦がポールピースの間を通るよう設計されています。

なお、弦のピッチ(弦同士の距離)がブリッジに近いリアポジションとネック側のフロントポジションとでは違うため、これに合わせてリアはポールピースのピッチが広いもの、逆にフロントピックアップはピッチが狭いものを載せる必要があり、同じジャズベースタイプのピックアップでもリア用のものとフロント用のものがあります。

ジャズベースタイプのピックアップはシングルコイルピックアップですが、リアとフロントをミックスして音を出した場合はハムバッキング効果を発揮し、ノイズが減少する構造になっています。

ただし、二つのピックアップの距離が遠いため、それぞれのピックアップで拾うノイズの信号に差異が大きく、単体でハムバッキングとなっているピックアップに比べハムバッキング効果は少々弱めです。

プレシジョンベースに比べ柔らかめでバランスが良く、クセのない粒立ちの良いサウンドが特徴です。

ジャズという名前がついているからといってジャズにしか使えないというわけではなく、クセがないためむしろさまざまなジャンルでオールラウンドに使えるピックアップです。

プレシジョンベースタイプ

通称、プレベタイプのピックアップと呼ばれるピックアップです。

ジャズベース同様、Fender社が開発したプレシジョンベースで使われたためプレシジョンベースタイプと言われています。

ポールピースが四つずつ付いた四角いパーツが二つに別れた形になっていますが、この二つのパーツ合わせて一つのピックアップマイクとして機能します。

ジャズベ同様一本の弦に対して2つのポールピースをあてがい、弦を弾いた際の音量低下の問題を解消しています。

構造としてはシングルコイルということになりますが、いわゆるスプリットコイル構造になっており、内部で二つに分けられたコイルを逆巻き・逆磁性にしてハムバッキング効果を得ています。

シングルコイルではありますが、分類としてはハムバッカーピックアップといえるでしょう。

プレシジョンベースにプレベタイプのピックこの一基のみ搭載、という使われ方が最も一般的です。

近年ではリアポジションにジャズべタイプのピックアップ、フロントポジションにはプレベタイプのピックアップを搭載した、いわゆるPJタイプのベースも増えています。

ジャズベースタイプのピックアップに比べパワーがあり、硬めでアタック感のあるサウンドが特徴です。

ピックでガシガシ弾きたい!という時に向いたピックアップと言えるでしょう。

ミュージックマンタイプ

主にミュージックマンのベースによく使われているタイプのピックアップです。

搭載されているモデル自体がある程度限られるためジャズベタイプやプレベタイプのピックアップに比べれば出数は少ないのですが、それでも根強い人気を誇っています。

構造的にはダブルコイルによるハムバッキングピックアップで、他のピックアップに比べピックアップそのものが大型で、8つ並んだ巨大なポールピースによる独特の外観が特徴的です。

弦の振れ幅による音量低下の問題に対しては一本の弦に2つのポールピースを対応させるのではなく、ポールピースそのものを巨大化するというアプローチで解消してします。

このピックアップが使われるベースの代表例であるミュージックマンスティングレイがアクティブタイプであるため、このタイプのピックアップが使われるベースはアクティブタイプであることが多いですが、最近では他社のオリジナルでも似たタイプのピックアップを使ったベースもあり、全てが全てアクティブというわけではありません。
ハムバッカーらしいパワフルでノイズの少ないサウンドが特徴的です。

余裕を感じさせるパワー感が魅力です。

ただし、パワフルといっても前述の通りアクティブベースに搭載されることが多いため、硬い音から柔らかい音まで幅広く対応可能です。