PAにおける電源の重要性

PAにおいて電源は最も重要だと私は考えます。それはなぜかと言うと、「電気が無いとどんな高級なPA機器も動かないから」という理由に尽きます。この電源の重要性を理解しないまま現場に臨むと遅かれ早かれ痛い目にあいます。

私は割と早い段階で痛い目にあいました。「日本のコンセントから取れる電圧は100V」が保証されている思っていた私は、電圧のチェックもせずにオペレートに望みました。そして、ライブ中にボーカールがシャウトした瞬間にPAのミキサーの電源が落ちてしまったのです。頭の中が真っ白になった私はどうすることも出来ませんでした。その後も数回ミキサーが落ちるということが起こり、混乱したまま本番が終了しました。おそらく、その会場のコンセントの電圧はかなり低かったのでしょう。そして、ボーカルがシャウトした際にPA機器でたくさん電気を消費し、コンセントの電圧が更に低下してミキサーを動かせる下限の電圧を下回ったものと思われます。このように、電源が良くないとPA機器が正常に動かなかったり、まともな仕事が出来なくなるということがお分かりいただけると思います。

これに対する対処方としては、「電源を取る場所を変える」か「電源を昇圧して使用する」という方法があります。電源が数系統ある場合は、電源を取る場所を変える(異なる系統から電源を取る)ことで改善する場合があります。ただし、この対策は、確実ではありません。適正な電圧が出ているコンセントが無かった場合はどうしようもなくなってしまうからです。そこで、一番確実な方法として「電源を昇圧して使用する」ということを行います。これであれば、全てのコンセントの電圧が低かったとしても無理やり昇圧(電圧を上げる)ことができるため、確実に適正な電圧を手に入れることが出来ます。

私は、このような昇圧装置とUPSと呼ばれる無停電装置を併用することで、電源トラブルは皆無となっています。「電源」を軽視せずに、確実な対策が出来るようにしておき、オペレートに支障が出ないようにしたいものです。