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音色を決める要素である『倍音』とは?


『倍音』というのは、音色を決める要素です。例えば、ギターとピアノで同じ「ド」という音を弾いたとしても、ギターの音なのかピアノの音なのかを聞き分けることが出来ます。これは、ギターとピアノの音色が異なることが最大の理由です。
その音色の違いの秘密が今回のテーマである『倍音』を知ることで理解できるようになります。

倍音とは?

そもそも倍音というのは、何なのか?という部分から書いていきます。ギターで「ド」の音を弾いたときに実は、「ミ」や「ソ」、オクターブ上の「ド」をはじめとした様々な音が同時に鳴ります。これらの音を倍音と呼びます。これを図で表すと以下のようになります。
図1
上の例で言えば基音が「ド」となります。それに対して、2倍音、3倍音、4倍音といった倍音の成分が合わさって、その楽器の「音色」になるのです。ちなみに倍音を全く含まない音というのは正弦波(サインカーブ)となります。これは、非常に無機質な音です。

それでは、このように基音の他に倍音が鳴っているにもかかわらず、その音が「ド」と判別できるのはなぜでしょうか?それは単純で、基音である「ド」が一番大きく鳴っているからです。シンバルのような楽器の場合、倍音を多く含んでおり、かつ、ギターのようにはっきりとした基音がありません。このような場合は、音程を感じにくいということになります。

同じ音程でも音が違う理由

1つの音程を弾いても楽器によって音が異なることは承知の事実だと思います。これをギターを例にとって説明いたします。ものすごい概略図で申し訳ありませんが、数の黒い線が弦が張を弾いていない状態だと思ってください。そして、弦を弾くと青線のように振動を始めます。これが「基音」と呼ばれるものです。
共鳴などで他のものと反応して、更に低い音がでることもありますが、基本的には、基音が一番低い音になります。弦の中心を弾くとこのような振動になります。

図1
しかし、実際のギターを弾く時に弦の中心(=12フレットあたり)を弾いている人はほぼいません。たいていは、ギターのボディーがあるブリッジの横あたりを弾くのが一般的だと思います。このような弾き方をすると実は基音を出す振動以外の振動をし始めるのです。このいろいろな振動こそが倍音の正体なのです。実際には、下図のような振動の山や谷が2つになったり、3つになったり、4つになったりする訳です。このように、音程のある楽器の倍音の振動にはある程度規則性があります。基本的には、基音の整数倍の振動が起こりやすく、1.5倍という振動は存在しません。

図2

図3

図4

また、中途半端な振動は折り返し地点の弦がとめられているところ近辺では比較的発生し易いですが、弦の中心にいけばいくほど他の振動成分と打ち消し合うことが多くなるので発生しにくいのです。従って、ギターの場合は、ブリッジ近くで弾くと堅い(比較的倍音の多い)音がしますが、弦の中心で弾くと柔らかい(比較的倍音が少ない)音がする訳です。

これを利用して、ギターの音作りに役立てることが出来ます。エレクトリックギターの場合は、通常、フロントピックアップとリアピックアップというのが付いています。ブリッジに近いリアピックアップは倍音を拾いやすく、比較的堅めの音がします。逆にブリッジから遠いフロントピックアップでは倍音が少ない柔らかめの音がするというわけです。そのため、フロントとリアで全く同じピックアップでも音が違うのはこのような理由なのです。
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ちなみに、ギターでハーモニクス奏法(弦をはじいてから弦に軽く指をふれて「ポーン」という丸い音を出す奏法)というのがありますが、これは弦に指をふれることによって振動のしかたを強制的に変化させているのです。例えば開放弦を弾いて12フレット上で弦に触れると、ちょうど弦の中心をふれていることになるので、弦を2分割したような状態となって弦の中心が揺れるような振動が発生できなくなるなります。従って、基音の振動は中心が押さえられているため発生することができません。結果として1オクターブ高い(開放弦の半分の長さの振動)音が出て、倍音も少ないので正弦波に近い柔らかい音になるという訳です。このような原理でチャイムのような機械的なハーモニクス音が出るのです。
これを理解すると、ハーモニクス音が出やすいポイントが分かって来ます。5フレットか24フレット上で弦にふれると弦の1/4の部分に触れているわけだから2オクターブ高い音が出るし、7フレットか19フレット上で弦にふれると弦の約1/3の部分に触れているわけだから、1オクターブ上の5度上の音が出るということです。このようにハーモニクス奏法は弦の信号と密接な関係があるので、ハーモニクスが出やすいフレットというのは必ず弦の整数分の1の場所にあります。

以上が倍音の説明です。


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