リハーサルの流れ

リハーサルの目的は「本番でベストな音を出せるように音を調整すること」です。
これを頭において、リハーサルの基本的な流れを考えて見ましょう。
リハーサルの基本的な流れとしては、以下のような形になります。

  1. 会場入りし、機材を準備
  2. 機材をステージ上に搬入し、セッティング
  3. 各パートごとのサウンドチェック
  4. 全体でのサウンドチェック
  5. ステージ上から機材撤収

これが基本的なリハーサルの流れです。
それでは、順番に「どのようなことをするのか」「どんなことがポイントなのか」を整理しながらリハーサルの流れをご説明いたします。

会場入りし、機材を準備

イベント主催者、または、ライブハウス側から指定された時間までに会場入りしましょう。

会場入りしたら主催者、ライブハウススタッフに一言挨拶すると良いでしょう。
ライブハウスなどのでのライブをする際には、多くの場合は、複数のバンドがイベントの中で演奏する「対バン」という形式が取られます。
そうなると、バンド出演するイベントであれば8バンド分のリハーサルがあるということになります。(稀にリハーサルが無いイベントなどもあります)
このような場合、リハーサルのやり方としては、「逆リハ」と「順リハ」というやり方があります。
「逆リハ」というのはその名の通り、出演順と逆にリハーサルを行っていくという方法です。
実際の順番は以下のようになります。

図1

一番最初に出演するバンドがリハーサルでは最後になります。
そうすることで、リハーサル後にセッティングをそのままにしておけるというメリットがあります。
逆にデメリットとしては、最後に出演するHバンドの拘束時間が長くなってしまうということです。

一方、「順リハ」というのは、出演順通りにリハーサルをしていく形になります。
ただし、最初に出演するAバンドだけはセッティングの効率化を考えて逆リハと同様に最後にリハーサルを行う場合が多いです。

図2

順リハだとバンドの拘束時間という意味で言うと公平性が保てるのかなと思います。
どちらの形式でリハーサルを行うのかは、主催者やライブハウス側が決めるので自分のバンドのリハーサルの時間を必ず確認しておきましょう。

自分の前のバンドがリハーサルを始めたくらいのタイミングで自分たちの機材の準備をしておきましょう。
ギターやベースであればケースから楽器を出し、弦のチューニング、エフェクトボートの接続チェックなどを行いましょう。
ドラムであれば楽器をケースから出し、スネアのチューニングやペダルの組立、シンバル類のセッティングを行いましょう。
「○○バンドさん、リハ入ってください!」と言われてから準備するようなことが無いように事前に機材の準備を行います。

機材をステージ上に搬入し、セッティング

いよいよリハーサルの順番になりました。
迅速に機材をステージ上に運び入れましょう。
その際に機材を運び込む順番と優先的にセッティングする楽器を少し工夫するとより短い時間でセッティングを完了させることが出来ます。
以下の図をご覧ください。

図3

PA側でのマイキングが一番大変なドラムを最優先でセッティングすることでより効率良くステージ上の準備が出来ます。
この機材セッティングの際は、PA側は「待ち」なことが多く、その「待ち」を出来るだけ少なくすることで時間短縮を実現できます。
また、ギターやベースのアンプから出る音の確認をする際には音を聞く位置に気をつけましょう。
多くの場合は、ギターのマイキングはオンマイクという方法、つまり、ギターアンプのスピーカーの近くにマイクを置く方法を取ります。
このような場合、マイクの位置で良い音が鳴っている必要があります。
また、客席に降りて聞いてみることもおススメします。
ライブハウスなどではギターアンプの直接音が客席に届いてしまうため、直接音が耳障りでないか?の確認をする必要があるのです。

各パートごとのサウンドチェック

機材のセッティングが完了したら次はいよいよサウンドチェックです。
サウンドチェックにおいてPAオペレータが最も確認したいのは「音量」です。
音量のバランスがしっかりと取れているか?というのをメインに確認していきます。
この時にはPAオペレータの指示に従った方が無難です。
ギターであれば
「クリーンはいいけど、歪みにした時に音量が出すぎているね」
というアドバイスをもらったら、素直に歪みのエフェクターのアウトレベルを下げた方が良いでしょう。
これをしないと外音のバランスがおかしくなったり、PA側で不要なコンプレッサーをかけることになったりと本来の音とは異なるものになってしまいます。
ドラムに関しては、タイコ類は一点ずつサウンドチェックするのが一般的です。
この時に注意すべきポイントは、「叩き方」です。
「タン、タン、タン」とある程度の間隔を置いて叩きましょう。
間違っても「タタタタタタ」と連打しないように気をつけてください。
これをされると、PA側での音質調整が一気に難しくなります。

全体でのサウンドチェック

各パートのサウンドチェックが済んだら、今度は全体でのサウンドチェックです。
この段階でPA側が確認したいのは外音のバランスと中音のバランスです。
ここでのポイントは、「外音はPAオペレータに任せましょう」ということです。
リハーサルは時間的な余裕はありません。
その中で本番で良い音を出すための調整をしなければならないです。
その中でミュージシャン側が最優先ですべきことは「中音」。
つまりモニタースピーカーから出る音の調整です。
正直、本番が始まってしまってもお客さんに向けた外音はPAオペレーターが実際に自分の耳で聞き補正が出来ます。
しかし、モニタースピーカーから出ている音はPAオペレーターは直接聞けないため補正が難しいです。
そのため、リハーサルが唯一中音を調整できるチャンスなのです。
全体でのサウンドチェックをする際には、1曲を丸ごと演奏することは避けましょう。
なぜなら、リハーサルの目的は、「曲の練習ではなく、音の調整」だからです。
同じ3分間を過ごすのでも、3分間ずっと曲を演奏するより30秒演奏して1分間音の修正をし、30秒演奏して1分間音の調整をするということをした方がより精度の高い音の調整が出来るのです。

ステージ上から機材撤収

機材を撤収する前に、ギターやベースのアンプ類のツマミの位置は記録しておくことをおススメします。
携帯で写真を撮る方が多いかもしれないですね。
その後、迅速に機材を撤収しましょう。
次のバンドに迷惑をかけないようにお互い気を使いながらやっていくことが重要です。

以上がリハーサルの流れです。
このやり方が必ずしも正解ではありませんので、もっと良い方法があればどんどん改善していくってください!