音域の棲み分けは完全には不可能

バンドの音作りが分かってくると、各パートの音が抜けてくる(よく聞こえる)ように「音域の棲み分け」ということを考えるようになると思います。
しかし、結論から言うと、完全に音域の棲み分けをすることは不可能です。
生楽器というのは様々な音域の音を含んでいます。
そのような楽器に対して「○○Hz~△△Hzまでの音だけを出す」ということは現実的には不可能です。
また、ギターについてもコードや音色が変わればかぶる音域も変わってきます。
つまり、バンドで使用する楽器の音はかぶって当然ということです。

では、各楽器が抜けてこないのはどのような対策をすれば良いのでしょうか?

スタジオ練習の場合の例

例えば、スタジオ練習の際のベースとバスドラムの音域の棲み分けについて考えていきましょう。

ベースもバスドラムも低音楽器と呼ばれ、バンドの中で極低音と呼ばれる音域を出す楽器です。
この時にベースの低音域をブーストして弾くとバスドラムの極低音成分とかぶり、ベースもバスドラムとバスドラムの極低音成分がかぶり、両方の楽器の存在感がなくなってしまいます。
そこで、音の調整が容易に出来るベースの音をいじっていきます。
具体的に言うと、ベースの低音域をカットしてあげます。
するとバスドラムの極低音成分が抜けてくるはずです。
ここでのポイントは、「極低音という音については、バスドラムが担当する」ということを決めるということです。
ベースもバスドラムも低音域から高音域までを含んでいる楽器ですが、「極低音」の音域についてはバスドラムが担当することを決め、その他の音域については被せておくというように考えます。
これに、スネアや他の楽器の音が乗ってくると、今度は、中音域のかぶりについて考えなければなりません。
中音域でかぶる可能性があるパートは、ギターやボーカルが考えられます。
一番うまくいく方法は、ボーカルの音を邪魔しないようにベースやギターの音を作っていくということです。
ボーカルは、音質調整が難しい(限られる)パートですので、音質調整が容易なギターやベース側でかぶりの調整をしていくとうまくいく事が多いです。
そして、最後に高音域の調整です。バンドにおける高音域のパートは、シンバルやギター、ボーカルなどの音があげられます。これらに対しても中音域同様にボーカルの音を邪魔しないように調整していくことでうまく音の調整をすることが出来ます。

まとめ

このように、音の棲み分けについては、「絶対に抜けさせたい音」を明確にすることが第一歩です。
その後、音質調整が容易にできるギターやベースが「絶対に抜けさせたい音」を邪魔しないように音の調整を図っていくとうまくいくことが多いです。

これは、ひとつのやり方ですので、必ずしもこのやり方がベストではないと思います。
試行錯誤して、自分たちのバンドにとって良い方法を見つけられればその方法を行うようにしてください。