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楽器の音量を上げれば上げるほどボーカルは辛くなる


一般的なバンドのパート構成としては、ボーカル、ギター、ベース、ドラムといったパターンが多いと思いますが、その中で電気的に音量を調整できるのがギターとベースです。一方、電気的に音量を調整できないパートがボーカルとドラムです。その中でも大きな音量を出しにくいのがボーカルです。ボーカルは自分の喉を使って音を出すため、バンドのパートの中では一番音量的には不利なパートです。そのボーカルがライブで辛そうに歌っている姿を良く見ます。特にアマチュアのロックバンドでは良く見る光景です。それでは、なぜボーカルがそんな辛そうに歌うことになってしまうのでしょうか?

他のパートの音がボーカルを邪魔する?

ボーカル以外の楽器が音を出していない状態でボーカルが歌えば、当然、ボーカルは自分の声が聞こえるのですが、他の楽器の音が鳴っている状態では、状況が変わってきます。ライブにおいては、ボーカリストは、通常、足元のスピーカーから自分の声を返してもらってモニターするのですが、そのスピーカーから出る音というのは、純粋なボーカルの音だけではないのです。
ボーカル用のマイクは、通常は単一指向性というマイクの周辺部分だけの音を拾うような特性を持っています。そのため、ボーカルマイクに入ってくる音はボーカルの声のみだと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は違います。ボーカルマイクに入ってくる音というのは、ボーカルの声以外にギター、ベース、ドラムといった他の楽器隊の音も入ってくるのです。
ボーカルのマイクに入ってくる音を分かりやすく表したのが以下の図になります。

棒グラフの高さがボーカルマイクに入ってくる各パートの音量と思ってください。ちなみに、ボーカルのマイクに入ってくる音のバランスというのは、上記のようなバランスが理想的です。ボーカルの声に対してその他のパートの音量が十分に小さい状態です。スタジオ練習で全てのパートが気持ちよく聞こえるような音量バランスの時には、ボーカルマイクに入ってくる音はこのようになっているはずです。
この状態であれば、モニタースピーカーから返ってくる音は、自分の声がはっきりと聞こえるような音になります。

しかし、他のパートの音量を上げてしまうと、ボーカルマイクに入ってくる各パートの音量は以下のようになってしまいます。

この場合だと、ボーカルの音量に対して、ギターが同じくらいの音量で入ってきています。このような場合は、モニタースピーカーから返ってくる音というのは、自分の声とギターの音が同レベルで鳴っているような音になります。この状態では、ボーカルは「自分の声が聴きにくい」もしくは「自分の声が聞こえない」となってしまいます。つまり、自分の声が十分に聞こえないまま歌うことになってしまうので、歌のピッチがずれたりして、安定感のない歌になってしまいます。
そして、他のパートが更に音量を上げてしまった場合、または、ボーカルの声量が極端に無い場合は、以下のような状態になります。

このような状況だとモニタースピーカーから出てくる音というのは、ギターがメインの音になってしまい。ボーカリストは「自分の声が聞こえない」となってしまいます。こうなってしまうと、ボーカリストは、必要以上に声を張ることを余儀なくされます。その結果、最悪の場合は喉を潰してしまったりしてしまうのです。

楽器隊がすべきことは音量を抑える努力をすること

ライブとなると、「大音量でギターが弾ける」となりがちですが、バンドとしてバランスの良い音をお客様に聞かせるということを考えるのであれば、これは大きな間違いです。ライブであってもスタジオ練習と同じ程度の音量で十分です。そのような音量バランスでステージ上で演奏することで、ボーカルのマイクに入ってくる音は「ボーカルがメインの音」になります。楽器隊の音量が大きすぎると、ボーカルのマイクなのに「ギターの音がメインの音」になってしまったりします。
バンドとしてバランスの良い音をお客様に聞かせるということを実現するためには、楽器隊が必要以上の大きな音を出さないことが重要です。つまり音量を抑える努力をするということが重要なのです。

まとめ

いくらトレーニングをしても、ボーカルの生声は、楽器のフルボリュームサウンドには勝てません。自分のバンドのボーカルの声量を意識した上で自分が出す音量を決めることが重要です。
ただし、だからと言ってボーカリストは現状維持しても良いわけではありません。声量アップと自分の声に合ったマイク選びをするなどの努力は忘れないようにすべきだと思います。


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