PAにおける「コスト」の考え方


イベントを企画する時には必ず「予算」が設定されると思います。稀に全員がボランティアでやられているイベントを見かけますが、大多数のイベントは多かれ少なかれ「予算」が設定されているはずです。イベンターの方は、この予算範囲内で出来るイベントを企画していくことになります。イベントで発生する予算の項目としては様々なものがありますが、以下の様な項目が主なものだと思います。

  • PA費
  • 照明
  • ステージ設置費
  • 映像費
  • 警備費 etc.

まず始めに、この様なそれぞれの項目にどれくらい予算を使うかという予算振り分けをすることになると思います。実績があれば金額を想定しやすいですが、実績が無ければ相場を調べることとで金額を予想するということをされると思います。この時に注意すべき点は「むちゃくちゃなコストで予算を設定しない」ということです。
「むちゃくちゃなコスト」というのは、委託された業者がその仕事を完了した時に利益が出ない、または赤字になってしまうような金額を設定することです。「業者がその金額で受けてくれるのだから良いでしょ?」という考え方もあるかもしれませんが、長い目で見たときには、このやり方は良くありません。それでは、その理由をPA業界を例に説明しましょう。

安値発注(受注)が良くない理由

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  • あるイベント企画会社はホールで開催されるライブのPA業務委託費を常識外れの予算で設定しました。
  • A社、B社、C社の3社に見積を取り、B社、C社の2社がその金額では対応できないと辞退。残るA社が仕事が欲しいということで赤字覚悟で今回の仕事を受けました。
  • イベント終了後にA社は大赤字を計上しました。このような無理な受注が続き、利益をあげられない体質になってしまいました。そのため、機材のメンテナンスもろくに出来なくなってしまいます。そしてついにメインミキサーが故障。修理する費用も無く、PA業務を続けることが出来なくなってしまい、A社は倒産。また、A社が受注した金額は業界の相場に影響を与えます。無理な受注金額が業界の相場金額となってしまうのです。
  • 相場金額が引き下げられてしまったPA業界は、妥当な金額を提示しているPA会社が仕事を取ることが出来なくなってしまうのです。また、それでも仕事を取りたいPA会社は赤字覚悟で受注し、A社と同じ末路を辿るのです。そして、妥当な金額を提示しているPA会社も仕事が取れないため利益が上がらず、機材投資も出来ずに現状維持がやっとの状態になります。場合によってはA社のように倒産してしまうかもしれません。

このように、「赤字になるような無理な予算を設定するイベンター」と「その無理な金額で赤字覚悟で受注してしまうPA会社」によって、PA業界が衰退していってしまうメカニズムを理解していただけたのではないかと思います。
上記の例はちょっと極端に書いた部部がありますが、実際にこのようなことが規模の大小はあれど起こっているのが現状です。

業界が進化していくためには・・・

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  • PA会社は「金額の妥当性を説明できること」さらに「利益が出ない金額では受注しないこと」
  • イベンターは「妥当な金額」を知り予算設定をすること。

これに尽きます。PA会社はボランティアではありません。「利益をしっかり出し、それを基に機材投資を行い、お客様に良い音を届けること」がPA会社の役割です。決して、「無理な受注をして、機材の修理が出来ないために倒産すること」が目的ではないのです。
これは、PA会社だけに限った話ではありません。照明会社でも映像会社でも起こりうることです。「業界の衰退=イベントの衰退」です。こうなってしまうとイベントに参加するお客様を満足させることが出来ないし、そのようなイベント、例えばライブであればチケット代金を下げざるを得ない状況になります。すると負のスパイラルに陥ります。イベント会社、協力会社が共倒れになってしまいます。
妥当な金額を設定して、妥当な金額受注しないとこのようなことが本当に起こってしまうのです。

妥当な金額とは

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それではイベンターの方が「妥当な金額」と判断するためにどうすれば良いのでしょうか?
私は、会社員として購買という業務をしているのでその観点も踏まえて書かせていただきます。「金額の妥当性」を照明するためのポイントとしては、以下のようなポイントがあります。

  • 「一式」表現は金額を曖昧にするので使用しない
    見積金額を「一式」とまとめて表現した時点で金額の妥当性は分からなくなります。例えば、「PA機器一式」という表現がされていた場合、この中にどのくらいの大きさのスピーカーが何台含まれているのか?ミキサーはどのようなものを使うのか?というのが分かりません。
  • 項目に具体性が無いものは具体的に説明してもらう
    様々な見積書を見ていると項目に具体性の無いものが良く見られます。「配線関係費」だとか「安全対策費」といったものがその例です。パッと見た限りでは問題無いように思えますが、良く考えてみると「配線関係費」というのはケーブルそのものの金額なのか、それを配線するための作業にかかる金額なのか、それとも両方合わせた金額なのかが分からないのです。これでは妥当性判断が出来ないので具体的に説明してもらいましょう。
  • 値引きの妥当性に注意
    見積書の中に「値引き」や「特別割引」といった表現を目にするときがあります。このような「値引き」には妥当性のある値引き(コストダウン)と妥当性の無い値引き(プライスダウン)があります。コストダウンであれば、なぜ値引きできたかを説明できます。例えば、「マルチケーブルは会場に常設のものを使用するのでその分は値引きできます」といったようなことがコストダウンです。一方、プライスダウンであった場合は、単純なる仕事を取るための値引きです。これに注意しないと上で例を出したA社のような会社を生んでしまうことになり、負のスパイラルに陥ります。従って、妥当性のある値引きかどうかを判断することは重要です。

このような点に注意しながら金額の妥当性を判断していってください。

 

これをイベントに関わる全ての業者様と行うことで、長く続く良いイベントが出来てくると思います。


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